思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

デス・レース 2000

☆☆★

ロジャー・コーマンという、河崎実みたいな、Z級映画の元祖みたいな人の、伝説的怪作。ということで、楽しみに中古で買ったのだが……。いきなりオープニングがえんぴつイラストなので、大丈夫か!? と大いに不安になり、出てきた車が、『チキチキマシン猛レース』どころか、Pプロ、要するに河崎実電人ザボーガー』(Pプロのテレビ特撮をリメイクしたもの)レベルのショボさ(´Д`)
デザインもほうだが、なんと言っても小さいのがキツい。よく言えば、ポルシェ的なコンパクトなスポーツカーで、実際、そうなのかもしれないけど、予算がないあら、ゴーカートか軽自動車を改造したんじゃないの? としか思えない。50年くらいのアメリカには軽自動車はないだろうけど。
とうぜん、スピード感も早回しで表現していて、手前を一瞬でもで通り過ぎるようなメリハリはない。
主人公のフランケンは一般人が家にあるものだけでダース・ヴェイダーのコスプレをしたみたいで、ショボショボ。顔も、なんか地味過ぎて。
おまけにすぐに観客(作中の、ではなく映画を観ているわれわれ)に素顔を見せる。テレビ中継されているはずなのに、人を轢いたり、都合の良い時だけしか実況されない。ラジオ中継なの? とツッコミたくなるくらいだ。
『ロッキー』でブレイクする前のスタローンが出ているのは知っていたが、その他大勢のちょい役かと思いきや、堂々たる主人公を付け狙うライバル役。性格は陰湿だけど(^^;)
本作のキモは、悪趣味というかブラックジョークとして、レースでは人を轢いたら追加得点が入る、というルールにある。それを成立させるために、アメリカは北京に住む(という謎設定。ヘタすりゃ中共アメリカが承認する前だぜ?)アメリカ大統領が主催する、という設定にしている。
それに反抗するレジスタンスが、大勢派のフランケンや、大統領を狙って実力行使をする、など、リメイク版『デス・レース』よりも複雑な構成になっているのは意外だった。もっと河崎実的に一発ネタ的な、何の捻りもない物語かと思っていたので。
唯一、純粋に楽しかったのが、レースを実況しているいかにも八十年代的なロン毛のにいちゃん。観ているだけでこっちも陽気になる。ある意味、仕事でやってただけなのに、最後には轢かれちゃうのが残念。
そうそう、本作のキモである、レース中は人を殺しても罪にならないどころか勝因になる、という設定だが、わざとひかれにくる連中ばかりで、それ以外の観衆とかに突っ込む場面がなかったのは、残念というか、作中世界での一般人の位置付けが曖昧になっていると感じた。そのへんは『ガルパン』は抜かりなくやってるのがエライよなぁ。