思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『南京事件』の総括

田中正明
☆☆☆☆☆
小学館文庫

『パール判事の日本無罪論』で右翼には有名な著者だが、既に占領中から、「南京大虐殺」に対する反証を集めていて、27年の独立直後に本書を出版している。筋金入りというか、真の右翼(保守/愛国者)とは、こういう人を言うのだ。
正しく南京攻略戦の前後に現場にいた人への取材も多数あり、しかも東京裁判で寝耳に水的に言われた大虐殺についても、わずか数年前の事なので、反証となる記憶も記録も確かなもの。
よく、「悪魔の証明」とされ、なかったことを証明するのは不可能だと言われるが、本書を読めば、数々の証拠によって、単なる戦闘以上のものはなかった事がはっきりするだろう。世界史的に、どの戦場でも起こったことしかなかったどころか、軍紀に厳しい日本軍のこと、ここでも世界戦争史上トップレベルの、民間人への配慮がなされている。
これまた、全日本人必読の書である。