思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

狐狼の血 レベル2


☆☆☆★

原作は未読だが、本作は映画オリジナルの続編らしい。『リング2』みたいな感じ??(^^;)
本作は、兎にも角にも、鈴木周平演じる上林というモンスターをどうやって止めるか、という話だ。
腕力と組織力のあるサイコパスは、どんだけ恐ろしいか、という話でもある。
暴力団に関係すると、どれだけ悲惨なことになるのか、ということはよく分かる。暴力描写はそのみに、物語のリアリティ的にはフィクション度合は高まっている。ある種、日岡(シンケンレッド)を主役にしたスピンオフと言っても過言ではない。映画館で観ても、十分元は取れたと思える佳作。
なお、チンタがスパイになる動機としと、韓国のパスポートというエサがあるのはまだ分かるとしても、上林が韓国人、という設定は特に意味のある扱いになっていないのが、ただ表面的に「タブーに切り込んでますよ」的なところに留まっている感じ。

以下ネタバレ

実は上林だけでなく、日岡も回復力という意味では十分モンスター的である(^^;)
冒頭にチンピラのチンタに腹を刺されるわ、第二幕終わりに今度は銃で撃たれるわ、三幕初めには上林にボコボコに傷口を蹴られるわ、クライマックスには上林に対して満身創痍。

地上波では放送出来なさそうなハードな描写としては、目を抉る、シャブを注射、指を詰める(切断そのものの描写は、カットを切り替えていたが)、頭を錐か何かで突き刺す、などもなかなか。中でも凄いと思ったのが、目を潰され(その他にも拳銃で撃たれるか刺されるかしている?)た組長の妻が絶命せず、頻出の痙攣をしている描写だ(物語中では、その後生きたまま焼却させられるのだが)。
物語は、殺戮の限りを尽くす暴君・上林をやっつけるだけの話だが、チンタもまた、日岡にスパイを命じられ、シャブを打たれるわ指を詰めるハメになるわ、しまいにはバレて殺されるわ、いいことがない。でも、脚本の因果律的に考えると、序盤に日岡との約束(計画/打ち合わせ)通りに拳銃で防弾チョッキに向けて撃たず、ナイフで刺す、というしくじりのツケを余りにも大きな代償で支払う、という話しだったのかもしれない。