思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

セブン・サイコパス


☆☆☆★

会話主体、歌物を音楽につかうセンス、オレンジ寄りの荒れたフィルム感など、実にタランティーノ的な映画だ。
主人公は映画の脚本家で、アイデアが出ず、酒浸りの生活をしている。友人から出されたアイデアが、7人のサイコパス、というアイデアだった。
彼らが考えた脚本通りに物語が進むのか、と思わせる描写は2点。主人公たち犬の誘拐身代金犯罪グループの一人であるクェーカー教徒が、登場人物を監視して、最後には自ら首を切る(が、一名は取り留めた)ことと、全体の構成とては、前半は殺人シーン満載だが、後半は会話だけ(実は最後の最後は違う)、というあたりだ。
主人公たち3人のうち、2人がサイコパス、というのだが、そんなのタランティーノ映画なら普通だし、敢えてサイコパスと強調した効果はほとんどない。
とは言え、脚本家という設定にしたことで、メタ的な、巻き起こる作中での現実と理想的な脚本的展開とのギャップに戸惑い、憤慨するあたりは、やはりニヤリとさせられる。
タランティーノ映画ほど会話が多いわけでもないし、これといって何が面白いとも言い難いのだが、少なくともタランティーノ映画が好きなら、割と楽しめのではないだろうか。私はタランティーノ映画はそんなに好きじゃないので、本作もまあまあ悪くない、という感じ。