思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

暗殺のオペラ

☆☆☆★

芸術的な映像、というふうな紹介文に引かれて観てみた。
なるほど、全カットが完璧に整えられている。シンメトリーを基本にした構図はもちろん、色彩も素晴らしい。まるでフェルメールの絵画のようで、まんまなカットもある。
凄いのが、最近の映画にありがちな、全体に赤や青のフィルターをかけたような映画全体が1つのカラーに揃えられているのではなく、カットごと、場面に合わせた色調になっているのだ。これをアナログ時代に作り上げた撮影テクニックには脱帽するしかない。
ストーリーのほうは、亡くなった父親の生前の様子をたどりにきた息子が知る真実、というどこか押井守チックなミステリー。
分かるような分からないような真実だが、イタリアよりムッソリーニ独裁に対するスタンスを知らないと、完全に腑に落ちることは難しいのかも知れない。