思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『バンカー・パレス・ホテル』☆☆★

なんか押井守映画みたい。終末観と、ほとんどがそこそこのサイズのセットが組まれた、作中ではホテルとは言え、地下のシェルターのような場所で終始する。
酸性雨とか、ゴシック調のホテル内部とか、『ブレードランナー』というより『未来世紀ブラジル』のような世界観でできている。
押井映画っぽさというのは、『アヴァロン』とか『アサルトガールズ』、『トーキング・ヘッド』みたいな雰囲気というか、低予算で地味で暗い方の押井映画の雰囲気。
バンカーというのは、銀行マンではなくて、軍事的な掩蔽壕、要するにやっぱりシェルターってことか。
そこに集まった偉いさんと、スパイ的に紛れ込んだ女テロリスト(革命家)が、シェルターでの人間模様を描く。
逆にいうと、特にとんでもない展開とかも起こらないあたりが、雰囲気映画というか、フランス映画っぽいところかな。
アンドロイドとして調子の悪いホテルマンとウーマン(看護婦)がいるのが楽しい。
彼らが弾くバンドの曲が良くて、『スター・ウォーズ』のカンティーナ・バンドに負けずとも劣らない、完全にアナログなのに、まるでシンセのような不思議な音色とテンポになっている。これに限らず、音楽も押井映画の川井節のような雰囲気になっている。
黒い液体が出てくる水道とか、2眼レフのようなカメラとか、ディテールを楽しむ映画なのだが、それにしては密度が低いのが、ヨーロッパ映画なのかなぁ。
ディテールで言えば、痩せたカラスみたいなのがホテル(シェルター)内にいるのだが、まるでキャプテン・ハーロックの隣にいる鳥みたいで楽しかった(^_^;)

1989年 フランス