思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

レッド・リーコン1942 ナチス侵攻阻止作戦

☆☆☆☆

『バタリオン』と同じく、ソ連女性兵士部隊をテーマにしたロシア映画。ただし本作は、僻地の村に駐屯するたった2機の高射砲部隊。指揮官は男の曹長。普通の男性兵士の部隊だったが、酒ばかり飲んでいる兵士たちに嫌気がさして、酒を飲まない部下を希望したら、次に送られてきたのが女性部隊だった、という展開。
状況だけ見ればハーレム状態だが、もちろんそんなことはない。女子校の男性教師もの、というのが一番近い。前線ではないとはいえ、戦場ドラマという感じ。
近年のロシア映画ならではの、画面隅々までピントがバキバキの、隙のないルック。音楽もハリウッド的なドドドドではなく、川井憲次的な抒情的なメロディなので、退屈しない。
高射砲の扱いの描写もミリオタ的見どころ。サブマシンガンやライフルの扱いも重量感がある。
途中で戦死した兵士の補充があるなど、主人公サイドでも遠慮ない展開も良い。特に沼を渡るシチュエーションを実に効果的に用いている。
クライマックスは、ナチスの先遣隊兵士12人VS主人公たち6人のゲリラ戦。気合いだけで勝つのではなく、地形を把握している主人公たちが、地の利を生かして優位を占めるなど、とにかく隙がない佳作だ。
部隊全員では20人くらいだが、偵察隊に5人選ばれるメンバーは誰もキャラが立つように演出されており、よくある誰が死んでも、区別できないから感情が動かされないこともない。
そのための演出として、各キャラのバックボーンが序盤に随時、2、3分程度で語られる。これ、『ジョジョ』的な構成だよなぁ……。
メカフェチ/ミリオタ的には、序盤の高射砲と、そのターゲットたるドイツの爆撃機(?)くらいで、メインは『ランボー』的な銃とナイフのゲリラ戦だが、脚本と演出、撮影など、キャスティングなど、隙のない、隠れた佳作。