思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

レイルロード・タイガー


☆☆★

ジャッキー・チェン主演。アクション映画と言っていいのかも微妙で、ズバリ、チャイナ版西部劇。
タランティーノ映画や、アメコミ映画のように、章立てされていて、主要登場人物が初登場した際には止めカットで、テロップで名前が出る。
支那事変中が部隊で、右側の日本人としては、史実と異なるところや、明らかに21世紀の中共プロパガンダ的な展開が気になることは気になる。兵士でもない、いち山賊的な主人公が「国民は国家のために頑張らないと」頑張るとか、クライマックスで、共産軍が攻撃を仕掛けて来るので、結果的に援軍みたいになったことだ。でもまあ、大なり小なり、英領香港時代からあったことでもある。『ドラゴン怒りの鉄拳』しかり『フィスト・オブ・レジェンド』、『イップ・マン』しかり。
ジャッキーの身体を張った特筆すべきアクションはあまりないが、蒸気機関車の客車の上で、人とサイドカーが格闘する、という、今書いてても正気を疑うような変わった場面ならある(^^;)
あとは、『マッドマックス 怒りのデスロード』をオマージュしたところも2、3見受けられた。
ミリオタ的には、クライマックスでは『ガルパン』か、という変化球の戦車バトルがある。その戦車というのが、日本軍という設定だが、九七式と、超重戦車を合わせたような、分かった上で遊んでいるのか、テキトーなのか、理解に苦しむデザイン。
橋の上で列車がジグザグに折れ曲がるとか、なかなか迫力ある場面。
エピローグは、すっかりプロローグの存在を忘れたところに出てくるので、サプライズゲストとともに、なかなか気が利いている。これを見ると、本作は史実を基にしたストーリーだと勘違いする中国人も多いかも。
右側日本人からすると、支那の各地に馬賊が跋扈して日本人を悩ませていた、八路軍は弱かった、とかの「史実」が漏れてるよなあ、というのに気がつくんだけど。
アクション映画なのに、2時間を超えるというのは長すぎ。やなはり「中国のために協力せよ」「日本軍/日本人は悪い」というプロパガンダ要素を入れ(させられ)たから長くなったんじゃないのかなぁ。
長くなった要因として、前半三分の一は、日本軍から物資をかすめとるだけで、ジャッキーの目的が定まらないのも大きい。負傷兵が逃げ込んできて、橋を爆破する
目的ができて、そのために爆薬を盗んで、と段取り(展開)が多い。100分くらいにしてくれないと。
コメディ要素が多いのに、戦争だの、自己犠牲だのがあるのも、なんかアンバランスな感じ。
ただ、80年代の香港映画ファンからすると、ヘンテコイントネーションの日本語が聞けたのは、なんとなく懐かしかった(^^;)
日本描写と言えば、日本軍の佐官クラスに女性がいる、というのも歴史修正主義。まあ、この人を除くと、主要キャストに女性が2人(しかも1人はおばちゃん)しかいないから、お色気要因なんだろうね。