思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『オーヴァーロード』☆☆☆★
JJエイブラムスが製作総指揮の映画。ネタバレもクソもないB級映画なので、内容を書いてしまうと、本作は戦争映画にゾンビ映画を合わせたもの。
タイトルは、てっきり「overload」で精神的な過負荷な戦場と非情な非現実的な事態、という意味かと思ったら、「overlord」なんだよね。ゾンビのことを人類に優越する支配者、という意味にしているのかなぁ・・・? まさかそんなゾンビ開発に成功したドイツ軍のことじゃないよね?
まずは、ノルマンディー上陸作戦での米軍の空挺部隊から始まる。そこで、ドイツ軍の猛烈な対空砲火にさらされ、周り中で対空砲が炸裂するのみならず、乗っている輸送機にも直撃して、炎上する中で降下する、まさに地獄のような描写は『ライアン上等兵(邦題:プライベート・ライアンのことね)』もかくや、というよりもJJの『スター・トレック イントゥ・ダークネス』のような雰囲気。
そこからは低予算の戦争映画のような感じで、フランスの小さな街を占領するドイツ軍と、街の市民たち、そこへやってきた米兵、というシーンに。
市民たちをさらって秘密の人体研究をやっているドイツ軍、という設定はB級映画にはお馴染みの設定だ。それがほぼゾンビ、というのも別に目新しくはないが、その描写と造形が日本だとA級レベル、B級としてもちゃんと予算を使って作っている感じ。
中では、頭と脊髄だけのゾンビ、というのが良かった。一瞬しか映らない脇役だけど。
ストーリーとしては、黒人が主人公というポリコレがB級のくせに鬱陶しいし、ガキが自分の不注意のせいでさらわれて、それを救うために主人公が、部隊の兵士の命を危険に晒す(実際に隊長を死なせている)し、そのくせ自分もガキもその姉も生き残るというご都合主義など、まあどうでもいい、と思わせる。どうせB級だし、ドイツ兵なんてゴミのように殺されるんだから、ガキも人体実験の犠牲になって殺せば良かったんだ。B級映画を楽しんで見るような人に映画内の倫理観なんて求められていないんだから(暴論)。
エンドロールがヒップホップなのも意味わからん。主人公役の人が歌手で、自分で歌ってるの??
とりあえずリアルな(グロい)戦争映画と、人体損壊が描かれるゾンビが見られる、という意味では、大真面目に2倍の金をかけて作られた贅沢なB級映画、と言っても過言ではないだろう。