思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

疫病の日本史

本郷和人井沢元彦
☆☆☆☆宝島社新書

世間では武漢肺炎を「新型コロナだ」とパニックになっているが、歴史を顧みれば、それ以上の危機を世界や日本は経験しているはず。そんな疑問に答えてくれるのが本書だ。本当なら、こういうのは、テレビでやらないといけない内容だが、当然いまの地上波には期待できないことは言うまでもない。

チベットの鳥葬は(略)ただ遺体を特定の場所に放置するのかというと、さにあらず。もっと過激で、鳥が食べやすいように専門の役割を担った人間が、遺体を細かく切り刻んだり、スライスしたりして、加工するのである。残った骨も細かく砕き、ツァンバ(こめじるし)に混ぜてこれも鳥に食べさせる。」
あえて(こめじるし)を入れたが、本書のミスとしと、こめじるしはあるのに、脚注が抜けているのはちょっと問題だ。
あとは内容的に重複が多いこと。

平安時代(略)洗髪は一ヶ月に一回程度という史料もあれば、年に一回だったというものも(略)香は体臭を隠すために用いる消臭剤のような役目も、果たしていたのだろう。」

「梅毒が日本本土で流行する以前には、性産業に従事する女性である遊女たちは、身分にとらわれないある種のファッションスターとして、羨望の眼差しこそ向けられ、差別などの偏見にさらされることはなかった。(略)しかし、梅毒が入ってきたことによって、遊女たちの間に瞬く間に広まり、肉体がボロボロになることは仏罰や神罰の結果であると読み替えられることによって、結果、蔑視・賤視・差別の対象となっていったのである。」