『地球が寂しいその理由』
☆☆★
姉妹たる地球と月の、環境を管理するAI、アリシアとエムの会話を中心に、地球と月で彼女たちに接する人物たちを描いたもの。
まあ、月でAIと来れば『月は無慈悲な夜の女王』を連想せずにはいられないが、まあクーデターこそ起きないが、それっぽい事件は起きる。
メインとも言える会話自体だが、まるで辻真先のような文調である。
SFとしては、終盤になってようやくというか、一気に展開する。タイトルの意味も、ラストには月がなくなるから。ただしそのプロセスはまるまるすっ飛ばされており、『ゴラス』のような醍醐味はない。
どちらかというと地味というか、良くも悪くも「等身大」の男女の若者の描写に共感できるかが鍵。悪くはないと思うが、もうひとつスッキリしなかったなぁ…。
地球が寂しいその理由 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション) 六冬 和生 早川書房 2014-10-24 |