こんなタイトルだし、冒頭の1作はハードボイルドものの体裁なので、ミステリー短編集だと勘違いしがちだが、SFである。わざわざ作中で登場人物の口から説明させているほどなのだ。
読んでいけば分かるのだが、殺されても蘇るリジーと、透明人間のクリスタルのコンビが遭遇する奇妙な出来事を描く。これは、本格ミステリー的に奇妙なのではなく、SF的に明らかに超常的な出来事なのだ。
テイストとしては芦辺拓に近い感じに仕上がっている。
SFファンとしては、作中に古い作品名が列挙されたり、最後の作品が『黒い破壊者』のオマージュになっていたりするのがポイント。
怪奇探偵リジー&クリスタル 山本 弘 KADOKAWA/角川書店 2015-12-26 |