B・V・ラーソン
☆☆☆☆
ハヤカワ文庫SF
どうせ粗製乱造のミリタリーSFのひとつだろうと、タイトルに引っ掛かりつつ、百円で売ってたので、ほとんど期待しないで読んでみた。タイトルとは、テーカン/ハドソンの名作シューティングゲームを連想せざるを得ないから(^^;)
ところがどっこい、一読、面白さに引き込まれた。過去に技術士官として従軍経験があるとはいえ、現在は妻を事故でなくした二児の父という、アメリカではありふれた主人公。それが、絵に書いたようなUFOのアブダプションから、システムエンジニアの知識を生かしてサバイバルする。
クラークの宇宙的視点、アシモフのロジックと会話劇、ハインラインのナショナリズム、ヴォークトやハミルトンの大風呂敷を兼ね備えた……と書くと褒めすぎかもしれないが、終盤まではそれから面白いのだ。だが、ラスト4分の1くらいが、凡庸なミリタリーSFになってしまうので、個人的にはがっかり。★1つ減点となった。もちろんミリタリーSFとしては、ここからが本題だし、終盤とて、エイリアンのスーパーテクノロジーのセンス・オブ・ワンダーは次々に出てくるのだが、主人公が機智で危機を潜り抜ける、中盤までの面白さとは別物だ。
個人的にゾクゾク来たのが、主人公にとって重要な人物でも、容赦なく、しかもあっけなく死んで行くこと。主人公を追い込むという、作劇上の要請、というより、それだからこそ、地球全体の危機、人類なんてあっさりと命を落とすというとが実感できるのだ。