思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

走れ!走れ走れメロス

☆☆★

同名の舞台演劇を演じた小さな高校の演劇部をテーマにしたドキュメンタリー。
気になるのは、前歴もなく、名演出家が顧問でもないのに、なんでドキュメンタリーを撮影したのか、という部分だ。もしかして、顧問の先生自体がカメラを回していたのか??
インタビューは結果が出て、公開を決めてから撮影したとしても。
最初は、コロナ騒動の中で観客が必須の舞台演劇に挑んだ高校生、というテーマで作るつもりだったのかな。いや、本作も半分以上はそれがテーマなんだけど、それ以上に、演劇にハマった学生たちのドラマになっている。
小さな演劇部なので、衣装もなく(もしかしたら、制服というレギュレーションなのかも)、舞台美術も、机と椅子だけ、みたいなミニマムなもの。
演劇の内容は、『走れメロス』をスラップスティックにした感じ。とりあえず、途中でパンツ一丁にらなったり、波を擬人化したり、校歌を歌うとかのメタ演出など、勢いは感じたが、高校生の演劇として、面白いのかどうかはよく分からなかった。
断片的ながら、そういう独自性は分かったが、濱口竜介監督映画みたいに、作中に全編ノーカットで演劇シーンを入れても良かったんじゃないかなぁ……。
どうでもいいが、王様役の少年が、なんとなくADHDっぽいのが気になった。だからこそ、演技にのめりこめたのかもしれないが。

以下ネタバレ

要するに、本作のポイントは、この学生たちが、優秀賞をとって、東京に上京して、プロの演出家たちの前で演技して、評価された、という結果を出してしまったこと。それによって、本作が「へっぽこ高校生が、一発ぶちかました」的なものになってしまったのだ。むしろ、予選落ちしたけど、演劇の面白さに目覚めた、というほうが、テーマ的には綺麗にまとまったんだけど。