思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ドライブ・マイ・カー

☆☆☆★

アンババレンツというか、めんどくさい映画だ。
まず、タイトルが最悪。ダダサダサの極み。これは、強調してもしすぎることはないだろう。村上春樹(ちなみにこっちも好きじゃない)原作通りなのかもしれないが、最近はやりの二文字タイトルとか、映画独自のタイトルにしても良かったはず。短編だから、署名でもないから、そこまでの知名度はないし。
内容の感想をひとことで言えば、「演出はよくできているが、好きじゃない」というところか。
物語的には地味だし、同じことの繰り返しなのに、見るに耐えるということは、構図や編集などの演出がうまいのだろう。
オープニングは、ないのかと思っていたら、突然テロップが。なんと40分も経ってから。三時間の作品だとはいえ、稀に見る遅さ。
事前情報からは、てっきり東海地方から北海道にドライブする車中だで構成された映画だと思ってたら、全然違った。前に観た濱口監督の映画と同じく、演劇なかんずく演技に関する映画であった。
映画評論家のマツケンさんの解説で、濱口監督じしんの演出方法だと聞けば納得したが、感情を入れない、完全に平板なセリフ読み合わせを延々と聞かされるのは、演出が巧みだから気にならないとも言えるが、やっぱり無条件に受け入れるのも尺だったりする(^^;)
あと、フリーセックスあり的な世界観や、セックスすると脚本が出てくる、脚本製造機としての仮面夫婦像もイヤ(^^;) もちろん、女性蔑視というより、女のほうは乱暴に言って好色である、というある種の自立もさせてるし。なんどもベッドシーンがあるのに、胸が映らないのもムカつく(^^;) 見せたくないなら、ベッドシーンなんか映画に入れなきゃいいのだ(´Д`) もしかしたら、胸を映すと、PG12じゃなくて、R15とかになる、というプロデューサー的な判断?
SEだけが流れて、何の音かは、数秒後に映る演出や、突然食事中のイスから画面の下にフレームアウトしてうずくまって、何かとおもえば、犬をなでているというのもヘン。

以下ネタバレ

思わせぶりというか、不自然すぎる設定で登場した女天才(?)ドライバーが、主人公に絡んで来るのは、脚本が上手いという人もいるが、私には映画的なご都合主義に感じた。寡黙な天才ドライバーの映画といえば、『ドライバー』とか、『ザ・ドライバー』とか『ベイビー・ドライバー』を連想させる。ただ、彼女がGを感じさせない運転ができるようになった理由が、15歳のころから、水商売の母親を駅まで送迎する際に、車で寝ているのを起こさないように、という設定にはグッと来たが。
たぶん、半分はこの映画のテーマなんだろうけど、ラストで舞台劇中で手話で語られるセリフは、キリスト教じたいの矛盾も受け入れられないし、そんな凡庸なテーマかい!? とも言えるし。まあ、凡庸なテーマを敢えて描いてもいいんだけど。