思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ザ・バットマン



☆☆☆☆

画面も話も暗いと聞いていたが、そこまででもなかったかな(DVDで観た『グリーン・ディスティニー』のほうが夜が暗くて見えなかった(^^;))。
忙しかったので、録画を何日かに分けて観たのだが、一気に観られるくらいは面白かった。画面がハードだから、見た目重視派の私としては、好みのタイプ。
基本としては、『ジョーカー』の対となる作りだな、という感じ。物語とかテーマではなく、映画の結構として。
ミステリーとしても、ヒーローものとしても、中途半端ではあるが、全方位的にカバーしている、とも言える。
冒頭の、日本人襲撃シーンで、みんなピエロのメイクをしているのは『ジョーカー』のクライマックスで、ひとりだけ顔半分だけメイクしているのは『ダークナイト』とかのトゥーフェイスのオマージュと、半分良心が残っていることの(分かりやすすぎる)表現か。
個人的にダメだったのが、アンディ・サーキス演じる執事と、キャットウーマン。アンディは、顔出しでのシリアスな役は似合わないよ(´Д`)
キャットウーマンは、マスクが、日本の泥棒コントのほっかむりちしか見えないコスチュームがひとつ。ドラマ的には、バットマンにキスするのがダメ。マスクも取らないようなヤツに惚れるか??(´Д`) ウェインになら分かるけど。いや、本作は、ブルース・ウェインではなく、バットマンこそ本性である、という意図なのは分かるけど。ある意味で、色仕掛けで誘惑(自分の復讐のために動かす)している可能性も高いけど。
バットマンスーツは、割と格好良かったかな。胸のエンブレムの直線的なアレンジとか。
時代設定はダメダメ。生活様式はどう見ても80年代なのに、現代的なスマートフォンSNSもでてくるわ、コンタクトレンズ式のカメラ、という超テクノロジーも出てくるという混在っぷり。

以下ネタバレ

悪者が、予告編で主犯のように出されていたリドラーだけでなく、マフィアのボス、その手下的なペンギンと、3人それぞれが組織のメンバーというより、三者三様の立ち位置に配置されている。特にペンギンは、予告編にもあった派手なカーチェイスまでやったのに、ニセ情報でした、とは気が抜ける展開。暗闇に浮かぶバーニッシュ調の爆炎は美しかったが。
ブルースの父が、悪どいことをやっていたとショックを受けさせて、後でアンディにセリフでだけ否定させるのも、なんかおざなりというか、説得力に欠ける。これをもって「真相は藪の中」と解説する人が多いが、作劇的に説得力がないだけなんじゃないだろうか。
残り30分くらいあるのに(それが分かるのが、家で観る強みまたはデメリット)リドラーが逮捕されるのには、偽の犯人かと思いきや、本物。そこから、予め仕掛けておいたギミックが発動する。『セブン』とかのスタイルか。さらに、クライマックスに、リドラーのフォロワーというかコスプレ野郎がわんさか出てくるのは『ジョーカー』のオマージュというか、本作がテーマ的に、同作の裏表の関係にあるのことの示唆か。ここをもってサヨク的な人は、トランプ支持者とかQアノンだとか言ってるが、サヨク活動家や、右翼の言論を弾圧したり、広義のデモ参加者と大差ない気がするぞ……。