思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

オールド


☆☆★

シャマラン監督作品。予告編からも非常にわかりやすい設定。バカンスである砂浜に来た観光客が、急速に歳をとる、というスリラー、というか、パニックもの。
結論から言えば、スティーブン・キング的な短編ならいいが、映画としてはダメな作品の典型。科学的以前に、SFとしてもツッコミどころが多すぎる。キャストも、B級だし、舞台となる砂浜も、合成感丸出し。ただし、砂浜の不自然さは、自然ではない怪奇現象が起こるという意味で、敢えてやってるのかもしれないけどね。
死体を敢えて見せないのも、意味分からん。犬の死体があると言ってるのに、画面に一切映らないのは、見落としたのかと思って巻き戻ししたほど(^^;)(吹き替え版をながら観していたので)。それだけなら、動物愛護団体向けの過剰自粛かと思ったのだが、ほかの人間の死体も、超ロングでのヒキのカットばかり。子供向けでも狙ってんの!? というくらいの過敏っぷり。その割に、まったく子供をメインターゲットにしている感はないのに。
砂浜にいるのは、主人公の家族の他に、ラッパーのカップル、3組の男女がいる。その3組のうち、アジア系のほうはキャラ立ちしているが、白人のほうは区別がつきにくく、言動をまとめることで一組減らしたほうが見やすくなったと思う。
シャマランらしい、どんでん返しというか、オチがあるが、完全に蛇足。シャマラン作品は当たり外れが激しいが、本作はハズレかな。
こういうプロットの映画なら、せめて『タワーリング・インフェルノ』みたいなオールスター映画にしないと。ことに、主人公の妻役の女優さんが、男っぽくて、全く好みではなかったのもデカい。

以下ネタバレ

本作の設定のキモというか、悪い意味での独自性は、歳の取り方の法則性がよく分からないこと。登場人物のひとりが、細胞の老化だとか、それらしい仮説を話すが、とうてい受け入れられない。時間の経過が早いわけではない、ということだけは分かるが。特に爪が伸びないのを否定する仮説とかは。
きょうだいで仲がいいのは分かるが、急に身体が大きくなって、第二次性徴を迎えたからって、姉と弟でセックスするかなぁ……。ある意味、本作で一番気持ち悪い展開。普通は戸惑うだけでしよ。身体の成長が早まるだけで、精神面は変わらないんだから。「見た目は大人、頭脳はコドモ」状態。
老化して骨が脆くなり、骨折した側から治るので、腕が木の枝みたいになるのは面白かったが、人体の変形という点で、『ジョジョ』っぽいと思わずにはおれない。老化という点では第5部のスタンド「グレイトフル・デッド」まんまだし。
ラストは、製薬会社が、この場所を使って新薬のテストをしていた、というオチが、長めのエピローグ的に用意されていて、それがシャマラン印になっているのだが、別になくてと良かったんじゃないかなぁ。それよりも、なんとか脱出していた、数百年経っていて、文明が滅亡していた、とかのほうが面白かったのでは?