思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

フローズン


☆☆☆★

アナと雪の女王』の原題と同じだが、全く関係ない。
スキー場で、リフトの上に取り残された3人(親友と片方の彼女)がどうなる? という話。ほぼワン・シチュエーションだが、ことが起きるまでには30分くらいはある。構成としては『ザ・プール』や『海底47メートル』と同じ。
ほぼ身動きできない状況なので、会話劇かと思いきや、一か八か飛び降りたり、ワイヤーにぶら下がってダワーまでゆくなどの、誰でも考えること意外にも、予想を裏切る展開の連続で、飽きさせない。色んな意味で痛い描写もわりとある。

以下ネタバレ

序盤で、男がナンパして教えてもらった電話番号を暗記する、というくだりがあるので、クライマックスで電話する展開が絶対にあると思ったら、電話の「で」の字も出なかった(´Д`) これは予想を裏切るというのを超えて、本作一番の欠点。電話をかける件があったのを、脚本の改稿か、編集で削ったのではないかと思うくらい。
彼氏のほうが、早い段階で飛び降りることを決断するのは偉いが、その結果は、足を骨折。しかも、折れた骨が飛び出るという、メチャ痛そうなもの(@_@)
挙句の果てには、狼の群れに生きながら食べられる、という悲惨な結末。狼たちが食べ散らかした死体は、主人公たちの眼前にずっと見えているはずなのにその後は一度も画角に入れないのは、要らざる配慮。そんな鬼展開にしといて、それはないやろ。ちゃんと無残な死体を映してくれないと。
そんな男について話す二人。凡百の映画なら、恋人のほうが嘆き悲しむのだが、「おまえがあいつを知ったのは最近だろ? 俺は小さい時から親友なんだ」と言い返す。単なる恋愛至上主義に堕していないのが素晴らしい。
男がなんとかワイヤーを伝い、ゲレンデを降りて救助を呼びに行く。女のほうは、どうやっておりたんだっけ??(^^;) なんとか降りるのだが、ゲレンデを下る途中で、狼に食い殺された男の死体に遭遇する。で、なんとか道まで辿り着き、通りかかった車に救助されてエンド。
男が降りた後に、時点が女のほうになる、つまりは主人公がこの女であったことがわかるのだが、この幕引きは引っかかった。男が下にいって助けを呼んで来たら、本作で男が遭遇したように、雪上で狼に食い殺された女の死体を目の当たりにする、というオチを期待したのだが……。女だけがスノボーが下手、という伏線というか、序盤の展開を畳むなら、それしかないやろ。
どうも、本作は遭難前の展開が、遭難してからの展開にまるで生きていないのだ。理由は上述したが、これくらいなら、リフトに乗ってから映画をはじめたほうがよっぽど良かった。