思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

星空にパレット

安萬純一
☆☆☆★
創元推理文庫

ノンシリーズのミステリー短編集。
『黒いアキレス』☆☆☆
学校内で起きた強盗事件。犯人は黒い服にフルフェイスのマスク。実写化でもしたら相当違和感のある出立ちである。おまけに100メートル12秒くらい、という俊足。犯人が逃げ込んだ倉庫に入ると、その黒尽くめの男の死体が。純粋な犯人あてとして楽しむには良いかも。


『夏の北斗星』☆☆☆☆
ミステリー作家2人が山奥の自動車事故で、たどり着いたのがロッジ。7つあるロッジの1つで死体が。ネタバレなしで書きづらいが、ラストのどんでん返しは、短編集ならではのもの。


『谷間のカシオペア』☆☆☆★
作中作もの。キャバクラだなスナックだかで起きた殺人事件を描いたミステリー。これまた端正な本格犯人当てと見せて、どんでん返しがある。


『病院の人魚姫』☆☆☆★
病院の屋上から転落死した女医。悲鳴を聞いた人がいるところから他殺の疑いが出るが、当人以外の目撃情報はゼロ。まるで『科捜研の女 劇場版』みたいな状況である。
ネタバレだがメインの謎ではないので敢えて書いてしまうと、本作は遠隔殺人のハウダニットとフーダニット。フーダニットのほうは、色んな意味で凄いネタだったが、ハウダニットのほうは地味かつリアリティにも疑問が残る。
ただ、『コロンボ』好きなら嬉しくなる展開にはニヤニヤさせられた。