思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

CUB/戦慄のサマーキャンプ

☆☆☆

原題が『WELP』と出て、どういう意味? と調べたら、なんとベルギー映画だった。とうぜん意味は「help」だと思って調べてないけど、もしかしたら違うかも(^^;)
「CUB」のはうは、子どもとか、虫、幼体って意味らしい。森の精の幼体みたいなのが出てくるから、それのことかと思って観ていたが、単に序盤に駐在さん(的な)巡査が乗ってるミニバイクを指しているのかも(^^;)
物語は、ボーイスカウトでキャンプに行き、その森で怪しい現象が起き、しまいには悲劇に見舞われるというもの。
最初は、ドジな主人公が、隊長や仲間にいじめられて、そんな中、森の精と密かな交流がある……という話かと思わせて、後半はちゃんとしてホラーになってゆく。
珍しい国の映画ということもあり、演出、展開ともに予断を許さないところが、面白いところかも。
なお、本作は無類の犬好きは、見ないほうがいいかも(^^;)
ネタバレ編で詳しく書くが、ホラー好きなら、ハリウッドの色んな映画のオマージュが取り込まれている事に気づくだろう。映画後進国だから、それもオッケー(^^;)
B級映画としては、十分に(主にお金というより時間?)元が取れる面白さ。

以下ネタバレ

序盤でもどかしいのが、主人公のサムが、作中でキリだかキムだかと呼ばれている森の精(そのくせ最初に隊長たちが脅かすのは、狼男の話)と、その棲家を発見するのに、誰にも言わないこと。普通なら「ちょっと来てよ」と言って見せるでしょ?
終盤になってようやく、サムが家庭内暴力の結果、自閉症的な性格だと分かるが、序盤で教えてくれなきゃ、観客に無用なモヤモヤを抱かせることになるでしょ?(´Д`)
本作の特徴が、「怪物」が森の精的な子ども(に仮面をつけて撮影しているのが体型的にバレバレ。サムに親近感を抱かせるのと、ラストでの入れ替わりを見据えたもの)だけでなく、それを飼い慣らしているのか、はたまた実父なのか、ゴツいオッサンが、森に入った人物に直接的な殺傷を加えるという、二段構えになっていること。
これ、意外ではあるが、2人の関係性が明かされないままだし、ミスディレクションとしても、最後の最後にどちらが犯人か明かされるわけでもないため、あまり効果をあげていないのが難点。意外性のための意外性作りで終わってしまっている感じ。
本作のホラーファン向け要素は、ジェイソンとマイク・マイヤーズブギーマン)を合わせたようなところ。森の精的な子どものほうは、サムの分身みたいな体型で、最後までマスクをとらない。ラストに、泥(糞尿?)だらけになってくんずほぐれつの死闘をして、どちらが勝ったかわからない、というあるある展開のためにだけ、子ども体型にしてある。ラストにサムが奪ったマスクを取るまでは、てっきりマスクみたいな頭のモンスターかも? とも思ったのに。それなら、せめてサムが二代目になったと観客に明かしたあと、初代の死体でも映せばよかろうに。
たぶんこれ、『13日の金曜日5』だか『6』だかをやりたかっただけでしょ?
というように、本作はホラーの名作てんこ盛りなのか、オマージュをやりたいとこらから逆算しただけじゃない? という要素が多すぎるのだ。
ただし、暴力シーンでは、犬を叩き殺したり、サムがボーイスカウトの先輩のお姉さん(しかも彼女はサムを終始かばっていた)を指し殺した。、容赦ないところに(ホラー映画としては)好感が持てる。特に、犬の撲殺は、ハリウッドのメジャー映画じゃ、今では絶対できなさそうだし。
意外性重視なせいか、2、3回出てきた、食事の前のキリスト教のお祈りシーンで、ある意味悪役である副隊長も、しっかり祈りの唄を歌っていたのは、演出ミスでは?