思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『火の鳥(9)』


☆☆☆★

『宇宙編』☆☆☆☆
交代で冷凍睡眠に入る宇宙船、という設定が、最近では『ライフ』とかにも通じる、由緒ある本格SF的で良い。
個人用脱出艇で、各自がそれぞれのコマ割りを使って対話を表現することを始め、コマ割りが凝りに凝っている。だいぶ読みづらいくらい(^^;)
また、動く植物のやうな生命、さらには人間が植物になるなど、SFとしてのセンス・オブ・ワンダーも十分。ただ、80年代のロボットアニメじゃないんだから、幼児がマトリョーシカみたいに青年のロボットのスーツを着て、他人からは全く分からない、なんてのはどうかと思うが。
また、火の鳥の血を飲んだらどうなるかも、シリーズによってまちまちで、『未来編』のように、殺しても死なないだけでなく、老化がメチャクチャゆっくりになるパターン、本作のように、若返ってちょっと成長して、また若返る、というのを繰り返すなど、一定していないのも、引っかかる。せっのブレなのか、作品ごとのテーマに合わせて敢えて統一していないのか。

『生命編』☆☆★
クローン動物を狩るテレビ番組を作っていたディレクターが、テコ入れのために、マンハントの番組を試みる。人間のクローンを作っているところを訪ねると、なんやかんやで、自分のクローンが大量にできて、番組で狩られることにたる。クローンが一瞬で成長する問題は本作でも健在だが、本作では純粋な科学技術ではなく、火の鳥による魔法なので、そこはかろうじてクリア。これまた誤解を重ねて、なんやかんやで、クローン工場に自爆テロを仕掛けるラストは、ちょっと昔読んだ『太陽編』に通じるものを感じた。