思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ポスト・モーテム

☆☆★

ハンガリーのホラーというのが珍しい。意味は、『ポスト・モータル』つまり『死後』ってことかな。
主人公は、第一次大戦で、間違われて、死体と一緒に積み上げられて処分されそうになったところを男に救われた。その男は、死んですぐの遺体を、時には遺族と一緒に、死化粧して写真に撮るというら遺体写真家(そして主人公の臨死体験をネタに興行する山師でもある)。主人公は、ある興行先で会った少女の村で、遺体写真を撮る。そこで、不思議な出来事に遭遇する。
この、遺体写真家というのが、ハンガリー独自の文化なのか、フィクションなのかよく分からないが、まあ現代の日本人が観るぶんには、どっちでも大差ないか。不気味ではあるが、やってることは『おくりびと』(未見だけど)や、遺影づくりと同じ。
百年前の田舎村とはいえ、村人がらあまりにも素朴というか、迷信に怯え過ぎなのが気になったかな。
ホラー映画としては、少なくともJホラーの演出として見ても、ハリウッド的に見ても、やり過ぎかつ、ヒキのカットが映画の中盤から、しかも何度も出てくるので、ギャグに見えてしまうのが最大の欠点。
青年と、少女のバディというのも、よくあるが、本作でもわりとしっくりくるマッチング。

以下ネタバレ

職業柄というか、死体が次々に出てくるんだから、死体が動き出したり、幽霊が出てくることは誰でも想像できよう。本作では、前述のように、それが早い段階で登場するので、心霊ホラー的な怖さはすぐになくなる。
パニックホラーとしても、例えば、後ろから見えない手に引き摺られ引き摺られるシーンでも、目の前にいる人の視点で、画面の奥に下がるだけでなく、第三者的に、真横や、さらにロングのショットが入るのがよろしくない。何回も発生していて、クライマックスとかならロングショットもありかもしれないが、早い段階かつ何度も見せすぎ。
クライマックスで、少女の家が地面に沈み、屋根まで地面に埋まったら、家の中では浸水が始まって、溺れかける、という意味の分からないサスペンスが。過去に洪水があって、村で多数の死者が出た、とかならわかるが、そういうのはなかった。