思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ラスト・デイズ

☆☆☆★

原因不明の感染症による終末もの。スペインSFというのがとにかく珍しい。
兆候としては、とにかく何故か屋外に出るのが怖くなり、実際に出たら、ショック死してしまう。なんか『ジョジョ』のスタンドにありそうではある。スーパー・フライとチープ・トリックを合わせたような。
それが(作中では)一気に世界中に蔓延し、人々は屋内でサバイバル生活をしている。なんか、『マッドマックス』的な組織化があったりするので、そう感じるのだが、主人公が職場から、家に恋人を探しに行くとか、同行するおじさんも、病院の父親に会いにゆくので、これは、震災後の緊急避難から家に戻るイメージ。最初の感染者から、パンデミックまで1日か2日しか経っていないよなぁ……。
まあ、原因も感染経路も不明で、言ってしまえばSF的な、「もし外に出たら死ぬとしたら」的な、軽いイメージの設定と見るべきだろう。
ラストに都会が植物で覆われるイメージとかは、『リスタート・アース』みたいで、実際、設定的には、中国SF映画と言われてもおかしくない。そこに一線を画しているのが、スペインの街並みだ。冒頭こそ、現代的なビルのオフィス外だが、地下鉄や下水道を通ってしばらく進むと、中世からの街並みで、それを見ているだけでも飽きない。あとは、ハンサムではないが、おじさん達の顔も、それだけで絵になるのも、これまた中国映画では逆立ちしても勝てない点だろう(ま、『スマート・チェイス』みたいな裏技もあるけど)。
主人公たちは、大半は下水道を進んで行くのだが、めちゃくちゃ臭いはずなのに、下水道に入った時に「臭っ!」という描写も、そこから出た後に会った人が「臭っ!」という描写もない(^^;)
ライフラインは止まっているので
、雨が降ってきたら、みんな窓から棒の先にバケツを吊るして水を集める描写が、なんか叙情的で良かった。何故かここが本作で一番感動的なシーンかも(^^;)


以下ネタバレ

ラスト、恋人に会えてしまうのは映画的ご都合主義なんだけど、そこはまあいい。地下道が手前のビルまでしか通じていなくて、大ピンチ。
そうなったら、「まさか『逆襲のシャア』のクェスよろしく、気合いでダッシュしてゴールじゃないよなぁ??」と危惧していたら、ほぼそんな感じだったので、だいぶがっかり。ダッシュでもなく、クラクラしながら、少しずつ足を前に進める、といった描写だったが。
ラストシークエンスは、二人の間に生まれた子供は、外出恐怖症がなかったので、小学生くらいに成長したら、他の子どもたち10人くらいと一緒に旅に出るところでジ・エンド。まあ、SFとしては悪くないオチ。そんなに良くもないけど(^^;)