思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

サンシャイン 2057

☆☆☆

てっきりNHKスペシャルの『銀河宇宙オデッセイ』の映画版だと思って観ていなかったのだが、全然別物だった。調べてみたら、そちらは『クライシス2050』という、ちょっと似ているタイトル。
本作は、活動の衰えた太陽に、地球の全ての核爆弾を集めたやつをブチ込んで、気合いをいれる(『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』風に言うなら)という話。
第一弾は失踪して、第二弾のメンバーのお話。なんか『2010年』みたい。太陽に超接近する、というところは『サンダイバー』みたいで、CGもルックもよく出来ているので一見ハードSFに見える。でも、序盤から、やたら宇宙船を映すカメラがグイグイ動くなぁ・・・と懸念していたら、やっぱり。実態はB級サスペンスだった。ただし、めちゃくちゃ金をかけた。
俳優陣は真田広之とミッシェル・ヨーというアジアの2大アクション・スターが出ているので、てっきり日米合作かと思いきや、日本は無関係。おまけに体を使うアクションシーンもない、というところでもヘンな映画。
核爆発船と違って、前方に巨大なパラボラがあるので、ラムスクープ船? にしては目標距離が近すぎる・・・と思ったら、これは船体をシールドする鏡だった。鏡に太陽が反射するビジュアルはなかなか格好良いので、大画面で見る価値はある。
この手の宇宙映画でお約束の、真空を生身でジャンプするシーンもある。本作では、宇宙船の内壁に使われているアルミか何かの断熱材を全身に巻くなど、他のハードSFでも観たことのない合理的な描写もある。なんとなく『デューン 砂の惑星』みたいな感じも。
このような細部描写と、全体のホラー的な物語構造がチグハグなのが実に惜しい。想像するに、最初のコンセプトを偉い人に見せたら「地味だ」と言われて渋々派手にしていった結果がこれ、なんじゃないだろうか(´д`)

以下、ネタバレ

最後には全員が犠牲になってもミッションを完遂する、というのがSFファン的には良かった。これで一人だけ助かる、っていうのも何だし。
ツッコミどころも大小あるが、どうしても見過ごせなかったのが、1号機とランデブーするところ。どちらもシールドが円形(半球形)なので、接続するためには集合の記号のように、2つの円を重ねる必要がある。この場合、どちらも平面なら太陽と完全に平行にすれば問題ないが、本作では半球形なのだ。後ろになった方が前方のシールドの裏側に太陽光を反射することになって、シールドは破壊(融解)されるのである(´д`)


2007年 イギリス・アメリ