思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アキラ(5)

大友克洋
☆☆☆☆
講談社

前の3巻から飛んで。間にもなんか大きなバトルがあったっぽい。
あらためて思うのが、本作のビル群の描き込みの凄まじさだ。めちゃくちゃ大変そうなビルが、どのコマにもあり、普通なら、作者が手抜きのために(または緩急の演出のためにら)背景だけのコマを入れるが、本作ではキャラよりも大変になっている。本作は、キャラと同等か、下手すると、舞台とか設定ということを超えて、近未来の東京という都市そのものが主人公と言えるのかも。押井守の『パトレイバー劇場版』とまじまじと比べるのも興味深いのかも。
老眼鏡でまじまじ見ると、一見雑で下手そうなキャラなのに、じつはデッサンもちゃんとしていて、一コマの視線滞在時間などと合わせ、やはりフランスのバンド・デシネに通じる。背景の集中線は多いが、画面に映っているもののブレは描かれないし。映画的に言えば、カメラはフィックスではなく、どこまでも対象を追いかけるパンということか。
メカフェチとしては、基本的に好きなデザインではなかったが、本作に出てきたアメリカの戦闘機はちょっと良かったかな。ラファール+フランカー+名前忘れたロシアの前進翼機。