思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ハッチング 孵化


☆☆☆★

北欧ホラーとして評判が高かったので期待したが、色んな意味で期待を外された。
まず、ルックが綺麗なんだかチープなんだか微妙。少なくとも、ハリウッド的な、コントラストのバキッとしたルックでと、イギリスのカラフルなルックでもない。
冒頭、母親が「誰もがうらやむ家族」のYouTube動画を撮っていると、窓にカラスがぶつかって、それを開けると、室内に一羽のカラスが飛び込んできて、調度類を壊しまくる。それを主人公たる少女が捕まえると、母親が文字通り縊り殺してしまう。
話は飛んで、森の中で地面にいるカラスを殺した下にあった卵を温めると、そこから孵ったのは……。
のび太の恐竜』みたいな話かと思いきや、暴走する怪物を育てる話、みたいになる。
中盤までの『ミッドサマー』的な不穏な雰囲気から、後半は単純なモンスターものになった感じがして、ちょくちょく早送りしてしまった。ただし、ラストは一捻りある、北欧らしいブラックなテーマが浮き上がってくる。
後から宇多丸師匠評とかで、敢えて街には誰もいないように撮っている、などの裏話/テーマを聞いて、コメンタリーなどと合わせると、噛みごたえのある作品かもと思った。ビジュアル的に、そこまでの鑑賞に耐えるかというと、私的には微妙だったかな。

以下ネタバレ

卵から孵ったのは、デカい鳥のヒナのようでいて、手足は人間。感想動画では誰も言ってないし、私も感想文を書いている今思いついたが、これ、「鳥人」やん!?(^^;)
これ、CGかと思いきや、80年代的なアニマトロニクスらしい。瞳がギョロっとデカいところなど、なんだか『ゴジラVSめかごじら』のベビーゴジラを見ているようだ(^^;)
それが成長するにつれていたずらをするようになるのはお約束として、さらに成長すると、主人公そっくりになるのだ。あの、鳥そのもののクチバシはどうなった??(これについては後述)
最後には、『エクソシスト』の悪魔に取り憑かれた少女そのもののようなビジュアルになる。それを殺そうとした主人公が、身代わりに刺されるが、母親は化け物ののうを、娘として育てようとするところで終わる。
感想動画で、冒頭の鳥から、卵、産まれたものまで、主人公の「本音」そのもの。母親の人形のように、言われたことを守って生きているが、本当はこうしたい、という願望が形になったもの、というのだ。
ここから私がひらめいたのは、これ、主人公の女の子のスタンドじゃないか、ということ。しかも、『ジョジョ』4部の康一のエコーズのように、成長型のスタンドだ。冒頭の飛び込んで来る鳥が第一形態。森の中の地面にいるのも同じ。その下にあった卵が第二形態。鳥の雛の鳥人が第三形態。主人公そっくりになったのが最終形態だ。自分でも制御できないタイプのスタンドでもある。