思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ピッチブラック

☆☆☆☆

なんかピンク映画みたいなタイトルだが、驚くことに原題もそのまま。どうもロック•ミュージック用語みたい。黒人音楽のテンポ、みたいな意味合いなの??
SFということ以外、ほとんど情報なく観たが、これがよくできている。いや、傑作とか秀作とかではなく、B級映画として文句なし! ということだ。
ただし、現在初めて観るとなると、『リディック』という映画があることは知っていたので、護送中の犯罪者としてリディックという男が出てきたら、そいうだけは死なないことがバレてしまうのが残念だったかな。公開時に見てない自分が悪いので仕方ないけど。
本作の良いところは、『ロシャオヘイ戦記』じゃないけど、名作映画の要素を臆面もなくパクっているところ。
冒頭の宇宙船は、最初はミニチュアかと思ったくらい、『ダーク•スター』くらいの時代のデザイン。それが大気圏に突入(墜落)するところは『スターウォーズ エピソード3』の墜落シーンっぽい。
謎のモンスターがチラチラ見えるか見えないか、というサスペンスは『エイリアン』、『ターミネーター』『ターミネーター2』『プレデター』など、色々ある。序盤には、リディックが、『羊たちの沈黙』のレクター博士ばりのレクチャー役になる、なんて面白いしかけも。
そもそも、千年夜が来ない、という設定はアシモフの名作短編『夜来る』だしねえ。
中盤からはモンスターものになる。モンスターのデザインは、どこかで見た感じだが、『パシフィック』とかかな? ほぼCGだと思うが、少なくとも、テレビ画面で見ている限りでは、あまり気にならないレベル。
展開も次々変わるし、小さいツイストもあり、B級映画としては文句のつけどころがない。主人公も、視力が弱いことを表現するために青く加工していたりして、それもあって魅力的だし。なんか水中メガネみたいなのが、低予算感を醸し出している。だが、この作品、ルックといい、CGといい、低予算なのかと思いきや、モンスターは割と時間•数ともにたくさん出てくるし、脱出艇は実物大セットを作ったりと、がんばってるところも多い。ただし、ルックはシークエンスによってバラバラだけど。

以下ネタバレ

本作は、サバイバルものとしての側面もあるので、誰が脱落し、誰が生き残るのか、が焦点になる。先述のように、リディックが死なないのがバレているのが玉に瑕ではあるが。あとは、私的には、知らない人ばかりなので、誰が脱落するか予想がつかないが、そこまでキャラの描き分けがされていないので、誰が死んでも驚かないのが悩ましいところ。
胸スカ感というか読後感というか、印象が良かったのがラスト。主人公だと思われていた女乗組員が、モンスターによって闇に引き摺り込まれた(食われた)こと。これ、某サメ映画と同じ展開で、主人公補正として生存させない映画には、文句なく☆プレゼントだ(^^;)