思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ヒドゥン


☆☆☆

観たよう気になっていたが、そうではなかった。『ゼイリブ』と混同していたらしい。
実際、『ゼイリブ』と『遊星からの物体X』と、『ブレードランナー』と、そして『一千億の針』だっけか? ハル・クレメントSF小説を合わせたような作品だった。また、もしかすると後の『ターミネーター2』へも影響を与えているかもしれない。
一見低予算っぽいのに、フェラーリを一台ボロボロにぶっ壊す(作中では。実物大プロップかも?)し、主人公はポルシェに乗ってるし、そこそこ予算はあるのかも。
ツイストとあるし、良くも悪くも通俗的な娯楽作として、及第点かな。幕切もスパッと終わって良い。
主人公は、どこかで見たなぁ……と思ったら、リンチばん『デューン』の主人公だった。
エイリアンが寄生しているサインとして、舌を唇のあいだから軽くのぞかせる、という設定にしたところがうまい。
エイリアンの造形は、『物体X』と『エイリアン』の中間的で、サザエの中身に昆虫の脚をつけたような、気持ち悪いもの。

以下ネタバレ

主人公は、明らかに感情が希薄なので、こいつもエイリアンだろうと思ったら、案の定。『ブレードランナー』や『物体X』のように、もったいぶって隠す気はないようだ。このあたりもB級娯楽作に徹している部分。
先述した、エイリアンのサインを舌をのぞかせることにした長所として、途中で犬に寄生する展開があるから。演技指導に限界がある犬ですら、エイリアンであることが観客に分かるのだ。
主人公が善玉のエイリアンである、というのはクレメントのSF小説と同じ構造で、同族が犯罪者を追う、というのは『ブレードランナー』だ。
ラストは、世話になった相棒の刑事が殉職したので、生命エネルギーを渡して、自分は死ぬ、という潔いラスト。でも、もしかしたら、主人公のエイリアン本体はああいうエクトプラズム系で、単に寄生の宿主を乗り換えただけかもしれない。なんとなくゲロっぽくも見えるが(^^;)、女なら、キスで表現していたところかも。