思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アイスワールド

ハル・クレメント著/小隅黎
☆☆☆★
ハヤカワ・SF・シリーズ

いわゆる銀背である。昭和46年出版。文庫には収められていないので。
特異な設定が特徴のハル・クレメントだから、てっきり気温の低い惑星の冒険なのかと思ったら、さにあらず。
ちなみに、背表紙のあらすじは、後半は、本編の後半の内容がモロに書いてあるネタバレなので、ここは見ないように!(^^;)

以下、ネタバレ

本作が興味深いのが、異星人視点のファースト・コンタクトもの、ということ。タイトルのアイスワールドというのも、高温惑星人サールから見たら、地球はアイスワールド、という意味なのだ。ただ、いくらなんでも、軌道上からでも、夜景や自然の動物群れや都市を見れば死の星なんて思うはずがないんだけどなぁ……。『猿の惑星』みたいに漂着したんじゃなくた、ご丁寧に、暖かい水星を拠点に辺境に麻薬収集に来てるんだから。
サール人の主人公の名前ソールマン・ケンも、『チャージマン・ケン』みたいで覚えやすい(^^;)あとがきにもあるように、心理描写はまんま人類と同じなので読みやすいのは、往年のSFの良いところである。
現在の目で見れば、ハードSF的に面白いところと言えば、基本環境が高温であるエイリアンの宇宙服や、宇宙船に触れた地球人が火傷したり、火事になったりするところくらいか。