思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

孤高のスナイパー


☆☆☆★

なんとデンマーク映画。原題はデンマーク語で射手座なので、スナイパーってこと?
こんなタイトルなのに、主人公はベテラン女性新聞記者。昔の恋人らしい気候大臣(日本でいう環境大臣か)へのテレビインタビューで、石油採掘への反対意見を述べた際に、暴動を示唆していると牽強付会されたことかは、国中で暴力的なデモが起きる。
タイトルのスナイパーは、そんな反石油採掘派の科学者で、凄腕のスナイパー(元軍人?)。要するに環境テロリストである。髭面で太った初老のおっさん、というのがスナイパーもの映画としては異例。
異例と言えば、主人公は、どう見ても60歳以上で、最初に「こどもを持つ」と語っているところでは「マジか? どんだけ超高齢出産やねん?!」とツッコミを入れたが、後に養子を取ることであったと分かる。でも、このへんのプロットは最初から最後まで出てくる割に、本筋である環境問題とは何の関係もないんだけど(´Д`)
スナイパーのほうは、石油利権のある官民合わせた四人の大物を次々に狙撃する。情報機関も彼を追うが、最後の大物をであるアメリカの大臣の訪問が迫る……。
撮影のせいか、全編なんとなく薄暗く、不穏な緊張感が持続するサスペンス。
地球温暖化懐疑主義者としては、作中で、大前提とされていたり、それのプロパガンダ映像が流れたりするのに抵抗を感じつつも、最後まで見ても、それは本作においては狙撃を阻止する、というサスペンスのお膳立ての意味でしかない、ということもわかる。

以下ネタバレ

本作で大問題となりうるのは、スナイパーからすれば、主人公はテレビに出ている新聞記者という、単なる有名人だから選んだにすぎず、関係性があまりにも希薄すぎる。
どうせ養子縁組のエピソードを入れるなら、その養子が誘拐されて、養子か要人か、どちらか一人だけが助かる、みたいな展開にすれば良かったのに……。って、まるで『ミッシング・デイ』だなぁ(^^;)
スナイパーものなら、クライマックスのキモとなるはずの、どこから狙っているのか、という問題も、主人公がなんとなく歩いていると、すぐ見つかるし(´Д`)
盛り上がり曲線グラフを描くとするなら、最初から6割くらいなのだが、最後まで8割を超えないので、さっぱり盛り上がらないのが問題。