思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

賭ケグルイ17

原作/河本ほむら 作画/尚村透
☆☆☆☆★
スクウェア・エニックス ガンガンコミックス・ジョーカー

過去編。幼い夢子と、夢子そっくりの姉・想子、叔母の次子、解説役と終喰鏑、そして百喰が登場する。
同じ舞台である百花王学園も出てくるが、メイン百喰家で、そこに出入りするのは、想子たちを含め、ほとんどがみな和服。そこで、一族の問題を争うのは、なんか三津田信三の『如きもの』シリーズを読んでいるかのようだ。余談ながら、藤崎竜が『屍鬼』を漫画化したように、尚村氏にも、『如きもの』のどれかをぜひ漫画化してほしい。
想子は、見た目は夢子そっくりだが、性格はまるで本編の鈴木のように、控えめな性格。それでいて、ギャンブルの才能(運と技術)は、持っている、というキャラ。パラレルワールド的な、別の夢子を堪能(?)できる。
本編に何度か言及されていた感じだと、てっきり夢子の姉は、百喰と同じく双子だとばかり思っていた。私だけなのか、みんなそう思っていたので、敢えて外したのか?
鏑の関西弁は、セリフだから断定はできないが、少なくとも文面だけからは、正しい大阪弁であることは関西人として、お墨付きをあげたい。
本巻のラスト、勝ったと思った次子が逆襲し、悪魔顔で畳みかけるのだが、ここまでやると、このマンガのパターンとして(というか、作劇の基本?)、調子に乗りすぎるとしっぺ返しを食うぞ? と先が読めてしまったのは、唯一の残念ポイント、というより、ないものねだりかな? むしろ、これこそ王道として楽しむべきか。
感服したコマ。
159ページの凛とした和服決めポーズ(手の表情が素晴らしい!)
185ページの、絶望の顔。夢子なら絶対にしない表情を、同じ顔の想子にさせる、という意地が悪いというか、主人公だからこそ、パラレルワールド的にそういう遊びがやりたくなったのか……(^^;)