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『テリファー2』公開前の、ネット上での一大キャンペーンに引っかかって、レンタルしてみた。
『アンチ•クライスト』だの『エクソシスト』だの『ハウス•ジャック•ビルト』だの、ホラーファンなら、この手のセンセーショナルなアオリには、お手並み拝見と行かない訳にはいかない。
結論から言うと、普通に面白かった。ART THE CROWON(綴り合ってる?)という殺人鬼ピエロのキャラも魅力的だし、主人公かと思った人が次々に殺されて行くのもいい。『13日の金曜日』とかでは当たり前なのかもしれないが、そっち系のシリーズはあんまり観てないから。特に序盤のビザ屋での無表情と嬉々として殺人を行う二面性が最高。このへんはジム•キャリーの『マスク』と似ているかも。あちらは善で、こちらは悪だけど。
ジャガモンド斉藤氏も言ってたように、グロ描写も、80年代的な特撮っぽさがあって、リアリティが薄いから、引くほどではない。
何より、ルックが普通にスタイリッシュで、とても『カメラを止めるな!』と同規模の低予算とは思えない(あっちはメイン俳優のギャラなしで400万だしね)。照明の感じと、画の黒の締まり具合とか、百倍くらいの予算の映画に勝るとも劣らない(少なくともそれくらいの予算の日本映画には余裕で買ってる)。
これも同氏のYouTubeで語られてたが、ピエロの衣装が、顔も含めて白黒で、返り血を浴びることで赤が差し色になる、というビジュアルデザインも素晴らしい。
以下ネタバレ
冒頭に出てくる惨劇の生き残りの女性のことは、事件の最初に時間を戻してから起こる事件のあまりのインパクトに、すっかり忘れてしまうが、顔が潰れることで、誰が生き残るのか分からなくしているのがうまいところ。髪の色はヒントになってはいるが。最初に出てくる二人組のうち、片方はダーク、片方はブロンドなので。
ダークヘアーのほうは、ピエロにも好かれているし、生き残ると思いきや、終盤であっさり殺されていた。『ソウ』ばりに、ピエロがターゲットを引きつけるための変装用に、頭髪と胸を切り取られる、というのも酷い(面白い)。
殺しの手口も、本作の代名詞と言っていい、美女の逆さ吊り股からギコギコの糸ノコギリやハンマーだけでなく、油断させておいて拳脛に忍ばせた銃を早撃ちするなど、変幻自在で、とくにポリシーがあるわけでもないらしい。
また、ラストでは人間としては完全に死んでいたのに、死体解剖の場面でいきなり生き返ったりと、人間らしい表情を見せるくせに、超自然的なところもあり、このへんが現時点で作られている(未見)エピソードゼロで語られているのかが、気になる。