思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

羊たちの沈黙』☆☆☆★

2回目か3回目の視聴。
確かに面白いけど、サスペンス映画としては普通に面白いレベルで、これがアカデミー賞をいくつも取るなら、『セブン』はそれ以上に取っててもおかしくないと思うけどなぁ(´д`) 映画評論家・町山氏が「その年には良い映画が他になかった」的な発言をしてたが、まあそんなところなんだろう。他人(アカデミー会員とは言え)の評価はどうでもいいけど。
20年くらい前の初見時から、なんでレクターが作中で持ち上げられるのか、よくわからなかった。「鉛筆一本で殺した」とか言われても、また作中で「ヘアピン1本で脱獄」したのも、フィクション的なご都合主義、というか『ルパン三世』と大差ない緩さにしか思えなかった。
蛾と羊のモチーフについては、町山氏の解説がないと分からなかった。前者は説明不足だし、後者は日本人が非キリスト教文化圏ゆえのカルチャーギャップなので、仕方ないだろう。
とりあえず、ミステリーとしては、少なくとも本格ミステリとしては構成&演出されていない。レクターの示唆にしろ、猟奇殺人(皮を剥ぐ)にしろ、雰囲気だけでできた映画、と言っては乱暴か。でもまあ、雰囲気は悪くないけど。
ただこれも見終わってから町山解説で知った情報を踏まえてだけど、(原題も同じ)タイトルが重要なんだろう。「羊=人々」が「沈黙している」というのはどういう意味か? レクターや、本作の皮剥ジャック(バッファロー・ビルと呼称されている)のように、切望(欲望)を抱えながら、それを心の中にしまっている(それの象徴として、幼少時のトラウマを封印している主人公のジョディ・フォスターが退避されている)ということなのか? 今、捻り出した解釈だけど。少なくとも2つくらいの解説動画では触れてなかったので独自解釈(^_^;)

1991年 アメリ