☆☆☆☆
創元推理文庫
まずは、本の裏表紙にもないのは当然としても、映画の予告ですら、本作の大きな趣向（別にネタバレでもないと思うが、『カメラを止めるな！』のネタバレ問題と同じく、何故か誰もが口外厳禁とみなしている）をバラさずに本作を読めたことはありがたかった。
面白かったのは、新旧の本格をオマージュした登場人物のネーミング。私のような物覚えの悪い人向けに、ご丁寧にも名前の覚え方まで作中で登場人物の口を借りて解説してくれている。子供が主役なら、あだ名という手もあるけどなぁ……。
作中に映画が色々出てくるあたりは『スラッシャー 廃園の殺人』を連想した。
クローズドサークルもののツッコミどころに、「そんな状況で連続殺人するか？」という問題は、本作では他の作品以上にあるのだが、設定された状況下での論理的な伏線に基づく推理は文句なし。敢えて、ないものねだりをするなら、クライマックスの多重ツイスト（どんでん返し）があれば……というくらいか。
