思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

2300年 未来への旅

☆☆★

某所(どこか忘れた(^^;))でオススメされていたので、中古で探してまで観てみた。どう見ても胡散臭い、『2001年 宇宙の旅』の二匹めの土壌狙いの邦題だからね(´Д`)
原題は『Logan's run』で、さしずめ『警務官ローガンの逃走』とでもなろうか。ローガンというのは主人公の名前で、日本語訳はされていないが、サンドマンと呼ばれている、警察官的な役職についている。
23世紀(邦題は、間違いではないが、あと1年で24世紀(^^;))、ドーム都市に住む人類は、30歳になったら、新生という名の、死の儀式によって殺すことで、管理社会を形成している。そんな社会から逃れようとする人々を管理(抹殺)するのが主人公の仕事。
ローガンは、逃亡者を追ううちち、都市の周辺エリアで隠れ住む逃亡者の住処を発見、そしてさらなる外に聖域なる場所がある事を知り、逃亡者の一人の女と共に、仲間のサンドマンから追われる中、脱出を試みる。
設定や展開は『都市と星』に近いが、SF大作とは言われているもの、80年代か70年代のアナログ作品なだけに、チープさは否めない。エキストラは多いが、衣装は『スター・ウォーズ エピソード4』の亜流っぽい。美容外科の入り口とか、ごく一部に、現代の目で見てもスタイリッシュなセットはあるが。あとは、ロケ場所として、アメリカの現代建築の無機質でだだっ広い場所をうまく活用している。
酷いといえば、中盤に出てくる四角い銀ピカのロボットが酷くて、小学校の工作でも、上手い人なら作れるんじゃないの? というレベル。ノアの方舟よろしく、色んな生命体を冷凍保存している、SF的には結構重要な役まわりなのに。
マットアートを駆使しまくった旅路の果てにたどり着いた聖域にいたのは、老人と無数の猫だけ。確かに都市には30歳以上の人はいないので、貴重な承認だけど、もうちょっと『マッドマックス サンダードーム』くらいのコミュニティらしいものを作っていてもよかったんじゃないかなぁ。この映画、予算の使い方を間違っている気がする。
予算と言えば、都市の内部は豪快に全部ミニチュアで、これがいかにも「昭和の本に描かれた未来都市」という感じで、三角錐のビルに、森、ビルをつなぐチューブ状の乗り物、という感じなのだ。
ひとつだけわからなかったのが、物語のキーになる、生まれた時から手の平につけられている宝石。それが光るのだが、位置的に、指の隙間にコードを通したりできない。どうやっているのだろう? 合成にも見えなかったけど。
あとは、サンドマンの銃のエフェクトが、いかにも昔のSF的な、ただの筒に握りをつけたもので、それにマシンガン用のマズルブレーキがついたもの。それが、撃つたびに緑のマズルフラッシュを発するのは興味深かった。メイキングにも映っていたのだが、実際にそう火薬が光るギミックが仕込まれているとしたら、すごい。

資料的価値はいざ知らず、普通に現在、観る価値のあるテーマも表現もなかったなぁ。単なる映画ファン視点だけでなく、SFファンから見ても、だ。