思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アポロ13

☆☆☆☆☆

観るのは10回目前後?
いやこれこそ大傑作でしょ?
その割に世間的にはあまり評価してされてない気がするけど(^^;) やっぱり宇宙ものリアルハードSF(SFじゃなくて完全なノンフィクションだけど)は一般人や映画ファンにも受けが悪いのか(´Д`)
最初の三分の一は、アポロ1号の火災事故から始まり、宇宙飛行士の訓練すなわち発射以前のドラマを描き、病気の疑いでメンバー交代、という、まるで作った(創作)かのようなドラマが。
打ち上げシーンは、管制室からの発射シークエンスが始まってから音楽がスタートすることで、本作が宇宙飛行士だけでなく、バックアップクルーまで含めての物語であることも伝えてくれる。発射シーンは、ロケット映画史上、アニメ『王立宇宙軍』のそれと、一二を争う、史上最高の美しさ、格好良さ。これがミニチュア特撮だ、というのも特撮好きには堪らない。
劇伴は途切れず、しかもズンドコではない、エモーショナルなまま、衛星軌道投入まで、すなわち2段ロケット切り離しまで続き、シークエンスの緊迫感・ドライブ感が途切れないのも素晴らしい。
無重量の表現も、ブルーバックのワイヤーにCG背景とかでやってたらもう観るのは厳しくなっていたかもしれないが、実際に無重量で撮影しただけあって、本物の説得力は古びない。敢えて古びたところを挙げるとすれば、月着陸船等がミニチュアに見えるところくらいだが、それもまあ、特撮オタク的に目を皿のようにして分かるレベル。
宇宙に出てからは、2段目エンジンの故障に始まり、トラブルの連続。一難去ってまた一難、息つく暇もない。その際たるものが、病気で交代となったケンが影の主役となる、再起動プロセスの試行錯誤だ。スイッチングの順番、というハード面と、人間の発想と諦めない精神というソフトが融合した、本作を象徴するイベントの一つである。
数々の問題を解決する中で、これまた敢えてもうちょっと詳しく描いて欲しかったのが、二酸化炭素のフィルターづくり。映画では材料が全て机にぶちまけられたところで、次に出番が回ってきた時には完成している。ここも、絶対に「これは使えると思ったのに合わない」とか、「つないでみたけど漏れる」とか、30分ドラマができるくらいの試行錯誤があったはずなのだ。
人間ドラマでは、政府から派遣されてる人があれこれ口を挟んでくるのも、時に政治的な現実問題だったり、ロケット工学を知らない観客向けの説明相手だったり、役割を持っている。そのクライマックスが、「NASA史上最悪の日になる」と言ったそいつに、管制官が「栄光の日になる」と言い返す場面だ。
あとは、やっぱり打ち上げと、大気圏突入後のパラシュートが開いた後の、一連のシーンでは感度してしまう(^^;) どちらも、奥さんたちが感極まって泣くカットが効果的(トドメ)なんだよねぇ(;ω;)