思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『戦神 ゴッド・オブ・ウォー』
☆☆☆★

チョウ・マンチェク対倉田保昭がウリ。支那・明の時代の、明軍と倭寇の戦いで名を馳せた将軍を描く。

という設定だから、『バーフバリ』ばりに雑兵を弾き飛ばすチョウ・マンチェク将軍無双かと思いきや、意外とリアル志向の合戦もの。
コスチュームはちょっと「?」という感じもするが、まあ時代劇のテンプレの範囲内か。
ちょっとだけ感心したのが、倭寇とは、日本人だけでなく支那人も多かった、という学校のお勉強しかしていない日本人でも知らないことをちゃんと描いている点だ。まあ、あくまでも敵役ではあるが、完全な悪逆無道、というわけではない。
興味深いのが、黒澤映画のオマージュだ。
倉田さんが顎髭を触るのは『椿三十郎』とか、支那人倭寇が目を剥いているのは『七人の侍』の、いずれも三船敏郎時代考証的にヘンな衣装は『乱』だろう。
倉田さんは、途中で腰が痛い演技があからさまだが、一目おける敵、というスタンスは『フィスト・オブ・レジェンド』の倉田さんの役と同じで、これまたオマージュか。ラストではチョウ・マンチェクとの一騎討ちを数分間かけて魅せてくれる。わざわざ刀を捨ててカンフー対決まで見せてくれるあたり、「分かっている」カンフー映画ファンへのサービスである。
チョウ・マンチェク将軍の奥さんも、美人なので単なるお色気要因かと思いきや、戦場ではそれなりのアクションを見せてくれる。やっぱり中国映画のアクション能力の基礎能力の高さ、恐るべしである。