思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱』☆☆☆★

テーマからして時代遅れというか、おっさん世代が若い時に流行ったカンフー映画。子供向けとは言い難いが、逆にそれがはっきりしている分、ギャグやナンセンス描写は全体に散りばめられているので、子供でも退屈しないようになっている。
ただし、まさお君が口ずさむのが『プロジェクトA』の主題歌とか、カンフーブーム世代にしかわからないパロディやオマージュも多々あるので、基本はお父さん向けかも。比較的最近のネタとしては、奥義が『カンフーハッスル』とか『西遊記』とか、チャウ・シンチー映画が元ネタであることくらいか。
アクションの作画にも定評のあるクレしん映画だが、本作ではカンフーを正面から扱っているだけあって、動きだけでなく、1カット長回しで5、6人を倒す入魂のカットもある。
映画としては、奥義を授かる資格を得る場面で、ヒロインが技術的には良いが、メンタルで失格し、しんちゃんが資格を得るも、不味そうだからという理由でその酒(とは言われていないが、薬というより、中国だから酒、としておこう)を飲まず、ヒロインが横取りするというのが珍しい。悪者がそうするのはよくあるが。
で、悪者を倒すのだが、その後、奥義に魅入られて暴走してしまう。それが、悪ではなく、過剰な正義、というあたりが実は凡作にはない、よくできているところなのだが、いささか長すぎる。悪者を倒したところで暴走するならまだしも、シーンを変えて、下手すると数日経って、まるで生類憐みの令の取締り役人のよう。それを元に戻すのが、橋幸夫が歌うジェンカ。これもちょっと長い。
悪者を倒してから、3分ポッキリくらいで浄化して欲していたら、スッキリ気持ちよく終われていただろうに。
でも、エンドロール(ここまでタイトルが出ていなかったのに驚いた)で流れる桃色クローバーZの主題歌は、ポップでノリのあるテンポで、まさしく子供向け映画のエンディング、という感じ。これだけで★は評価が上がる。


2018年 日本