『深紅の碑文(下)』
☆☆☆★
林譲治が書いた、と言われても何の疑いも抱かないだろうなあ…という感じの作品だった。
宇宙船を飛ばすパートに関しては、機島慎司や野尻抱介っぽさもあったりするが、何よりすごいのは、終わっても何も起きないことだ(^_^;)
これだけ全編を通じて煽っているんだから、大異変が起こるのが当然でしょう。ところが、宇宙船が出発するところで終わり。
主要登場人物は、大異変なんかとは関係なく死んでいるので、そういうところから、本作は、このような『ウォーターワールド』的状況で生きるいろいろな立場の人間を描くこと自体が目的なのだろう。
短編『魚舟・獣舟』の長大すぎる番外編・サイドストーリーが本作なのだ。