思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ラム

☆☆☆☆

ビジュアルから、へんな映画であることは分かるが、どんな内容やジャンルなのか、非常に気になる作品。
ミノタウロスならぬ、ひつじ人間(子供)が出てくる。
冒頭は、まるで動物映画のように、主人公の牧者にいる羊や犬、ネコの目線の、非常に低いアングルのカットが続く。
動物視点で、人間はおまけ的に描くのかと思いきや、その後は、田舎の夫婦という、普通の映画文法に移る。
気がついたら、ミノタウロス的な、羊の頭の赤ちゃんを育てている。奇妙なのは、片腕が人間で、片方は羊のの前足になっていること。
二人ともその異常さに気づかないが、食い潰れた弟が転がり込んで来て、それを見咎めるが、「分かってる。皆まで言うな」的に批判を受け付けない。
このへんで明らかになるが、二人が羊人間につけて名前は、夭折した息子の名前らしい。
不穏な空気もありつつ、雄大な北欧の自然の中で暮らしを続ける夫婦だが……。
路線としては、結末まで含めて、『MEN 同じ顔の男たち』がいちばん近い雰囲気か。あとは自然の中の建物の映し方(構図)が、『ライトハウス』っぽいかもと思ったり。
劇場で観れば、大自然を、より、堪能できたかも。

以下ネタバレ

ラストには、夫のほうが何者かに銃殺されるのだが、ラストに明かされるその正体は、なんと羊人間のオヤジ。全然気づかなかったが、冒頭に、牧者に何者かが忍び込むような伏線的描写があったらしい。つまりは、托卵、あるいは種付けだけしてほったらかしていた息子を取り返しに来た、ということか。どっちにしても酷い話だ(^^;)
つまりは、本作は不条理というか変な話ではなく、ホラーってこと?