思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

レイジング•ファイア


☆☆☆★

YouTube『そえまつ映画館』で絶賛してたので、公開時に観たかったが、見逃したもの。
ようやく観たが、だいぶ期待はずれ。
そもそも、ドニーの刑事役ってのがあんまりハマってない、ってのもあるけど(^^;)
ドニーは曲がったことが大嫌いで実力もある刑事。とある悪党(レスリー・チャン)の犯行を止める、というストーリー。
そのその悪党は、元々ドニーの同僚だったが、別の悪党を捕まえるのにリンチを加えているところをドニーが目撃し、警察内の審問でも馬鹿正直にそれを証言したため、恨まれることに(^^;) とはいえ、直接命を狙われたりするわけでもなく、一方的にドニーが嫌われているだけなのだが。
本作の基本はガンアクション。ドニーの真骨頂たる肉弾戦は中盤とクライマックスに(測ってないので、体感として)2、3分ずつ、という印象。
ガンアクションといっても、『狼たちの挽歌』や、ジョン・ウー的なスローモーションではなく、完全にやりすぎな、火薬爆発祭(^^;) とても元刑事とはいえ、いち犯罪者と刑事たちがドンパチやってるシーンとは思えない。完全に戦争映画の市街戦。グレネード・ランチャーや手榴弾まで出てくるのだ。
カーチェイスも、ゴチャゴチャした香港のこと、通行人を轢くシーンこそほぼなかったものの、道を曲がった先にいる対向車や、止めてあるバイクなんかにはドカドカぶつかる。しかも韓国ノワールなんかであるような真夜中でもなく、白昼堂々。
撮影終了後に監督が亡くなったこともあってか、エンドロールには、NGシーンならぬ、監督を中心にしたメイキング映像が流れる。
路線としては『SPL 狼よ静かに死ね』なのだが、結果的に、ノワールとしての悪党の魅力も、怖さもそこまでではなく(悪党への刑事の拷問シーンは『狐狼の血』ほどではないが、それなりにエグいが)、アクションとしても悪くはないが、映画全体のバランスとして、ドライブ感に欠ける。
序盤とラストで、石像を使った死亡シーンなど、印象的なところとあるのだが……。とにかく、全方位的に欲張りすぎて、突き抜けたところがないため、印象に残るものが薄いのかなぁ……。