思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

インセプション 再


☆☆☆★

映像のインパクトが強いので、劇場公開時に観た時には面白かったが、ストーリーを知って観ると、設定の破綻、展開の無理矢理感ばかりが目につく(^^;)
宇多丸師匠も言ってたが、主人公であるデカプリオも、一見、格好良さげだが、実は自分自身もトラウマに翻弄されて、仕事もトラブル続き。ほとんどヤクザとかノワールの犯罪映画みたいなドタバタ劇と思っていい。一番格好いいのは、初見時と多分同じで、オールバックの執事然とした人。
意外だったのが、潜入作戦を実行したのは、冒頭のツカミをのぞけば、一度だけだった、ということ。ある意味でこの映画で一番有名な、パリの街が折れ曲がるシーンは、チュートリアル的な説明シーンなんだよねえ。
夢で下の階層に降りる時も、それぞれ別の人の夢になって、それで目的が達成できるのか? なんか『ジョジョ』の4部でディオが止めた時間で、承太郎が時を止めたからって動けるようになる? というのと同じ疑問が湧く。
時間が異なる、という表現は、ノーランが偏執しているテーマ。階層を下りるごとに遅くなるという設定は、車が川に落ちるまでのタイムリミット・サスペンスという役にしか立っていない。
また、そもそものタイムラインの入れ替えもノーランの十八番だが、これも毎回やってる割に、わかりにくくなっているだけなのだが、本作に限っては、冒頭のシーンがクライマックスに繋がり、うまくいっていると思う。
ラスト、コマを回して「回転が止まるか止まらないか問題」だが、今回観てわかった。これは、画面で止まるところを映していないんだから、「止まらない」という表現なのだ。だって、「コマが止まる=現実」だと言いたいなら、止まるところを映せばいいんだからね。