思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

踊る骸


☆☆★

スウェーデンのミステリーが原作ということで、渋いというか、地味すぎるためか、『エリカとなんとかの事件簿』という邦題の、副題になっている。
東欧というか北欧らしく、第二次大戦のナチスの影というか、残滓を描いた作品。
『湿地』ほどてはないが、陰鬱なルックで、劇伴もピアノを印象的に使って、佳作といっていい。ただし、ミステリとしてのテーマやトリックがありきたりすぎるので、中盤あたりで、真相なんて完全にどうでもよくなってしまっあ。

以下ネタバレ

本作のテーマは、要するに、写真に映った二人のうち、ナチスのスパイはどっちだ? というもの。回想シーンをぶつ切り、段階的に入れて、一気に見せない。
こういうのは、観客をミスディレクションで、別の真相を脳内に構築させていてひっくり返すから効果があるのであって、ただの二者択一で、手がかりそのものを焦らして見せないのでは、そんなのどっちでもいいやん? となってしまう。