思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

オカムロさん

☆☆☆★

好きな(今風に言えば推しの?)アクション女優、伊澤彩織さんがダブル主演の片方ということで、劇場で観たかったのだが、近くの劇場では夜のみで、しかも1週間で終わってしまったので、観られなかった。
低予算とか、怪奇現象をコロナに風刺したところとか、とにかく首が飛ぶ数ばかりが言われるので、期待値は下がりっぽなし。ホントは円盤買うつもりだったが、レンタルも最新作扱いされなくなるまで待つことに。それでも、円盤にコメンタリーがついてたら買ったんだけどなぁ。
でも観てみると、坂本祐悟監督作とまでは行かないが、普通に楽しめた。少なくとも、よく出来た特撮ヒーローもののオリジナルビデオか劇場版くらいは。雨宮慶太監督作品くらいというか。
もちろんかなり低予算であることは、作中のニュースやYouTube番組のクオリティの低さにあらわれさはいる。特に、アナウンサーのヘタさは目に余るが(^^;)
とはいえ、全体のルックや、メインとも言える首が飛ぶ描写は普通に観るに値する。切られたあとの首の皮がピクピクするなんて、内外含めて映画で初めて観た描写。
オカムロの造形も、なんかフィギュアの女ゼイラムを連想するくらいよくできていた(ネタバレかな?(^^;))。
これまた酷評されていたアクションだが、なんでラスボスと戦うのが伊澤さんのほうちゃうねん!? というてんかはラストシークエンス部分だけに残念だが、個々のアクションそのものはかなり頑張っているほう。
劇場で観たら充分満足できたんじゃないかな。

以下ネタバレ

前半はJホラーのテイストで、後半は『来る』プラス、『ゼイラム』的な特撮アクションになる構成が明瞭で楽しい。
アイドルのほうの主人公が通う精神科医(この人が、ポスターで何? と思っていたバーンズ勇気?)が、全然精神科医に見えないとがっかりしていたが、サイコな本性を剥き出しにしてからの演技は良かった。
オカムロの正体が、幽霊とか化け物ではなく、この本名がオカムロたる精神科医で、裏の顔が連続殺人鬼、という真相は、冒頭の、主人公がキャンプ場で遭遇する連続首切りに関してはまだありえるとしても、それ以降の犯行はほぼムリ。がっかりというか、矛盾の真相かと思わせて、ゼイラム的な化け物のオカムロもちゃんと登場したのは良し。
オカムロを武漢ウィルスになぞらえた描写は、監督の主義が全面に出て、作劇的には破綻(矛盾)しているのが残念。街でデモをするのはいいとしても、「オカムロを検索しましょう」は成り立たないでしょ。真っ先にじぶんが検索して無事だっならいいが、死んでないということは自分はしてないってことでしょ? それともオカムロの信者/手先的に扇動してるのか??
百歩譲って、モンスターのオカムロがいないなら、いつどこで誰が検索するかもわからないのに、人間のオカムロが全員殺せるわけないからいいんだけど。
投げっぱなしで回収されなかったエピソードとして、「オカムロ教」的な集団が出ていたので、実はそうなのかも。