思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ジョン・ウィック コンセクエンス』

☆☆☆★

シリーズとしては初めて映画館で観ただけあって、世界観や、銃撃音の迫力には圧倒されたけれども、作品としての評価はそこまででもない。シリーズを通して、質が下がってはいないが、上がり方は微増、という感じ。
3時間近くあるが、『ミッション・インポッシブル デッド・レコニング』よりは断然短く感じた。
キアヌのもっさり感は相変わらずで、それを上回る真田広之、そして超絶的に速くて動きも決まっているドニー・イェンというレベルが3段階設定されている。ちなみに、雑魚キャラといえでも一流で、やられっぷりも一回転したり、吹っ飛び方も過剰だ(^_^;)
ドニーの速さは超人的で、仕込み刀を2度刺したり、取り回しとか、コマ落としでないと信じられないくらいの素早さだ。盲目という意味では『座頭市』とドニーが演じた『スターウォーズ ローグ・ワン』、そして棒術という意味では『ワンスアポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』を連想せざるを得ない。
アクションシーンは長い! ディレクターズ・カット版とか、エクステンデッド版のレベル。劇場公開版としては3割は切れる(短くできる)でしょ?
長くなっている原因は、サブキャラである真田広之の登場する大阪のシークエンス。ここは、真田広之が主役? というくらい長いのだ。元の舞台を知っているので、『ブラック・レイン』を思わせる美術の飾り込みとかも分かって楽しい。
演技面では、ローレンス・フィッシュバーンが相変わらず楽しそうに怪演しているのと、アル・パチーノみたいなニューヨーク・コンチネンタルの支配人などが重厚感で映画を引き締めている。
それに対して、本作の悪役である公爵の小物感たるや(´д`) ちなみに、この公爵、コーヒーは飲むわ、ケーキは食べるわで、フード理論には当てはまらない。
相変わらずキアヌはライフは無限だわ、10メートルくらいのところから2回も落下しているのに不死身っぷりを疲労、、、否、披露している。思うに、このやられっぷりはジャッキー映画、延々と闘うところはジャッキー以前の香港映画をオマージュしているのではないか? そう思うと楽しく、コメディに思えてもくる。
パリの道路での乱闘では、このテの映画で道路でバトルしていても主人公だけが轢かれないのはなぜ? という疑問に答えるように、キアヌもバンバン車に轢かれる。でも、シリーズのお約束で、主人公のライフは無限なので大丈夫なのだ。でも、本作は雑魚キャラもけっこう頑丈で、銃で一発撃たれたくらいではやられない。ま、そういうところも映画が長くなる要因なのだが。ここは明確に『ミッション・インポッシブル デッド・レコニング』を意識した感じ。ドアが取れるのも同じ?
街の誰もが命を狙ってくるのは『ジョン・ウィック2』もそうだが、『マトリックス』シリーズのエージェントが一般人をハックして身近な人が襲ってくるのを踏襲しているかも。
本作を映画館に観に行ったのは、過去作はケーブルテレビで観ていて割と好きなシリーズということもあるが、伊澤彩織さん応援、という意味もある。どれだけ貢献できるのか、甚だ疑問だが(^_^;)
真田広之の娘役のスタントダブルという役割で、引きのカットやバックショットでは体型が違うので、たぶんこれかな? というのは分かった気がする。

以下ネタバレ

クライマックスは、肉弾戦でドニーと一騎討ちしたり、公爵をぶちのめして欲しかったが、西部劇のオマージュになってしまったのはだいぶ残念。また、そのシークエンスでは、照明がスタジオなのがはっきり分かったのも私的には減点要素(盛り上がれなかった)だ。まあ、先述の、ドニーの動きが誰の目にも早すぎて、タイマン・ガチンコしたらドニーが勝たないのが不自然すぎるので、敢えてやらなかった、というかできなかったのかも(^_^;)
あと、フィッシュバーンがパリの地下鉄で渡した銃は「接近戦では凄い」と言ってたのに、どこが凄いのが見せてくれなかったのはどうして? あったけど見逃したのかな??
黒人のキャラは、もうちょっと絡んでくるのかと思ったら、最後には傍観者に(^_^;) めちゃくちゃ『テネット』を意識してるなぁと思ったけど、あとは犬好きに悪いやつはいない、という本シリーズのテーマを再確認するキャラか。ネットフリックスでスピンオフでも作るつもりか?