思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

レゴ ムービー

☆☆☆☆

評判が良かったわりに、観る機会がなく、ようやくレンタルで見られた。
『レゴ•バットマン』は観ていたのでだいたいの予想はついたが、まずはそれと同等のものすごい密度の展開に圧倒される。アニメの『ギャグマンガ日和』か、現在のYouTube動画か、というくらい間を詰めている。前者は短編だからいいが、本作は長編なので、たまに緩急で見せる「間」もあるが、基本的には会話もアクションも猛スピード。
ビルが破壊されたり、ビーム光線、爆発の煙、果ては大海原までレゴのコマ撮りアニメで表現する凄まじさに圧倒されたが、なんとこれはCGなんだとか。『レゴ•バットマン』は明らかにCGに見えるので、明確な演出意図があってのこと。実際に、実物のレゴのコマどりにしか見えないので、それは成功していると言えるのだろう。
コメディ要素も、アメリカンジョークから、レゴで発売されているコラボ作品へのツッコミなど、そのどれもがハイテンポかつ、漫才的なツッコミ不在でも笑えるセリフになっている脚本が素晴らしい。
あと、歌もの嫌いな私だが、本作のテーマソングである「すべては
サイコー」というのも、なんかクセになる(^^;) また、先に吹き替えで観たせいもあるが、珍しく、原語版の歌より良く感じた。

以下ネタバレ

本作で「スゲェ!」と唸らされたのが、終盤で実写パートが出てきたこと。レゴで遊んでいる少年と、その父親というメタ展開がなされているのだ。主人公のレゴ作業員は、少年の分身でもあるし、悪の「おしごと社長」は、その父親の分身でもあるのだ。
父親の立場で考えたら、自分が趣味(ただ、建設会社に勤めていて、顧客へのプレゼン用に作った、いわば仕事なのか? というあたりを明確にしていないのが唯一の脚本的な不備)隅々まできっちり作り込んだ街並みを壊す怪獣にしか見えないので、特に親の立場の観客からは、主人公が悪ガキにしか見えない懸念があるのに、そう感じさせない演出バランスは絶妙ではある。
そうそう、主人公が世界を救うパーツとして持っている「スパボン」って、単なる「変な名前」ギャグかと思わせて、スーパーボンドの略、というのも脱力。しかも、パーツは、そのボンドのキャップなのだ。終盤まではっきり見せないので、なんかゴミ場のみたいだな……と思ってたんだけど。
ストーリーはマトリックス三部作によく似てるけどね。