思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

おしりてんてい シリアーティー

☆☆☆☆

これ、めちゃ面白い、というかよく出来てるやん!
宇多丸師匠が絶賛してた『仮面ライダーW 運命のガイアメモリ』がイマイチだった私だが、逆に本作は絶賛。
なんで『W』をここで挙げたかと言うと、終盤の展開がほぼ一緒だから(^^;) ではなぜ、評価が分かれたか? 思うに、テレビシリーズを観ているかどうか、の違いではないだろうか。『W』は未見だが、『おしりてんてい』はテレビシリーズも、映画版の前2作も全部観ているのだ(^^;)
そんな私からすると、本作は純粋に子供向けだった前2作と比べても、ワンランク上の完成度。
前半は、『カリオストロの城』や『007』のパロディなんかをおり混ぜながら、テンポよく新キャラや映画版の世界説明をしながら、テレビシリーズのキャラを背景、ファンサービス的に登場させる、劇場版ならではのお祭り感だ。
ヒロインも、最初は足がない、とブラウンに感想を言わせておいえ、次にどんくさいことを示す演出として階段で転落させて、シークレット•ブーツ(超ロング上底?)と思わせて、実は007的なスパイグッズというかギミック仕込みだった、という四段オチをさらりとやってのける。
劇伴も、『映画ドラえもん』のように過剰なフルオケでもなく、小気味良い感じ。ちょうど『劇場版名探偵ホームズ』みたいな。
今回の敵キャラであるシリアーティー(当然、名探偵ホームズのライバルであるモリアーティー教授のパロディだね)は、良い声だけど、聞いたことないなぁ……と思っていたは、なんと福山雅治! 確かにええ声の歌手/俳優だけど、それにしてもナイスキャスティング。ちょっとクライマックスの雄叫びだけは浮いてたけど。
声といえば、ヒロイン役の人も良かったなぁ。こちらはプロ声優みたいだけど、寡聞にして知らなかった。
ヒロインといえば、格好良さと間が抜けてるのと、コメディ演技のお手本と言える的確な演出。これ、子供向けアニメのみならず、大人向け映画やドラマでもなかなかないよー。ヒロインのみならず、全体的にだけど。
本作は、最近全然見てないのに比較するのも失礼だけど、『劇場版 名探偵コナン』よりもよくできてない??
クレヨンしんちゃん 花の天カス学園』くらいはよくできてる。

以下ネタバレ

構成上の山場である、おしりたんていがシリアーティーに一度破れるところで、「せんいそうしつ」だと聞いたブラウンが、巨大スイートポテトで「有機栽培のイモは繊維たっぷり」だとするギャグも、予想はできたが、なんか楽しい。ここから、失礼波動砲の撃ち合いを応援するくだりは、なんか知らないが感動したよ。『W』では別になんとも思わなかったのに。
スイートポテトを食べてしぼんだ顔が復活するのみならず、波動砲エネルギーの充填200パーセントをビジュアル的に表現した、巨大頭部。主人公であるヒーローの顔がここまで(怪我や負傷によるものではなく)キモくなる、というのは、古今東西の作品中でも前代未聞では?
ラストシーンでは、敗れたシリアーティーが、どこかの浜辺に打ち上げられて、ブラウン似の子犬と出会うという、『ガンダム08小隊 ラスト•リゾート』かという、これまた妙に感動的なエンディング。