思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

復活の日

☆☆★

原作は読んでるはずだけど、全然こんな話(というか空気)の作品じゃなかったと思う。
まずは、冒頭、日本映画なのに、全然日本語が出てこないのに驚く。ソ連のスパイが細菌(生物兵器)を盗むはなし。それだけでなく、日本国内のシーンもあるが、ほとんどが南極基地か、ホワイトハウスなので、セリフの8割か、下手したら9割が英語、という、色んな意味で凄い映画なのだ。
この色んな意味というのは、良い意味では超大作感。世界各地でロケをしているし、なんと割と重要な役割の潜水艦はチリ海軍の潜水艦を使わせてもらっているという、『トップガン』顔負け。
悪い意味では、世界規模の災厄を描いているとはいえ、ドラマが描かれているのは、日本の病院がちょっとだけと、あとはホワイトハウス内部と南極基地内外だけと言っても過言ではないのだ。
世界規模のスケール感という意味では、『世界大戦争』のほうがまだあったかも。予算は数分の1だろうし。
驚いたのが、主役の草刈正雄のハンサムなこと! 最初は誰がわからなかったくらい。直前に『大河への道』で観ていたのに(^^;) ハーフ? というくらいの、二枚目というより、まさしくハンサムというにふさわしい格好良さ。まあ、話が進むにつれて髭ボウボウで、さらに乞食同然になるんだけど(^^;)
なお、南極の米軍基地の司令官役の人は、『裸の銃を持つ男』のレスリー・ニールセンの相棒だった人なので、いつボケをかましてくるのか気になってしかたなかった(^_^;) いや、ボケてるのはニールセンのほうで、彼の方は実にまっとうなキャラなんだけど、同じ画面でギャグが炸裂してるので、つい。
ミリオタ的に、浮上中の潜水艦が目視圏内の潜水艦を攻撃する場面にめちゃくちゃ違和感があった。なんと垂直発射ミサイルなのだ。魚雷で充分というか、それ以外あり得ないでしょ。

以下ネタバレ

米ソ冷戦時代とは言え、相互確証破壊にいたるロジックがイマイチわからなかった。ワシントンの東海の底で大きな地震が起きるのは、『日本沈没』二番煎じにして、それ以上のSF的な飛躍があって、さらに没入感を阻害された。
それによふ、いわゆる核戦争状態の描写も、あらゆる核実験のライブラリーをかき集めた感じ(中には『ゴジラ マイナスワン』がお手本にしたというか、まんまCGで作りおなしたのがバレバレのフィルムも)で、それによる破壊カットは、『世界大戦争』よりもショボい。ライブラリーを借りるのに金をかけるなら、ミニチュア特撮に金をかけるべきでは?
ラストも、南極以外全滅した世界を彷徨い歩く草刈正雄は、そこからまた物語が始まるのかと思いきや、名所めぐりをしただけで、南米だか南極だかの基地の生き残りのコミューンにたどり着くまでに風景を数分間見せられただけ。
これ、小説なら奇跡的な再会としてアリだが、映像で、おまけに途中の道中まで見せられると、現実的に考えざるをえず、あり得ないとしか思えない。大金をつぎ込んだ上に逆効果(という最悪のパターン)では?