思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

チェイサー


☆☆☆

原題は『KIDNAP』。文字通り、子供を誘拐された母親が、目の前で車に乗せられるのを、マイカーでどこまでも追いかける。なんか『アオラレ』のような話だ。
主人公が女版サミュエル・ジャクソンみたいなので、犯人夫婦に追いついても、普通に『コマンドー』みたいにぶちのめしかねない感じで、どうしようもない感じが薄いのが致命的なミスキャスト。主演の人がプロデューサーも兼ねているらしく、それが裏目に出たか。ネタバレではあるが、じつはラストには予想通り、犯人を肉弾戦でやっつけるので、そう言う意味ではキャスティングは間違ってないのかも。
大筋としては、追われるのと追うのを逆にしただけで、『アオラレ』に近い。
ご丁寧に携帯を落としていくのも、お約束通り。圏外になる展開よりはましだが。そのぶん、どうやって警察に連絡するかがサスペンスになるが、連絡できたらできたで、無能すぎて役に立たないから、主人公が自分で解決するしかない、という(^^;)
劇伴はちょっとチープかな。良くも悪くも、作曲家が主張してメロディアスな曲を書いたりしていない。

以下ネタバレ

誘拐犯が女の子かと思わせておっさんが登場し、実は声の主だった女も同乗していた、というツイストはうまい。途中で女のほうは車から落として排除したと思いきや、自宅に帰っていた、というのも。
そこで、誘拐犯は実は組織の一員に過ぎず、他にも誘拐した子供や、メンバーがひとりいた、など、最後までツイストが続く、実は手練れの手による脚本なのかも。
最後の最後にはランボーばりの水中格闘という、力技で解決するあたりに、主演女優のゴツさが活きてくる解決法になっている。べつに格闘しなくても、会話などの頭脳戦で良かったと思うけど、プロデューサーも務めている主演女優ありきで全てが始まった企画なのだとしたら仕方なく、先述したように、脚本は及第点以上に手堅くまとめているので、妥当な仕上がりといえる。