思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

キラー・インサイド・ミー

☆☆★

原題も同じで、『私の中の殺人者』って感じのタイトルだから、二重人格ものかと思えばさにあらず。ひとことで言えばサイコキラーもの。ケーブルテレビのあらすじ以外、情報ほぼゼロで観た。
ポップなグラフィックのオープニングと、内容が全然合ってない。
80年代のアメリカの田舎のほう、保安官見習いの主人公が、町はずれに住み着いた売春婦を追い出すのを保安官から頼まれたところから物語は始まる。恋人のベッドシーンや、ちょっとだけ変わった性癖のせいでR15になっている。
これ、実際の事件を元にしていないとすれば、ダメ映画じゃないかなぁ……。

以下ネタバレ

主人公のサイコ野郎には、数日だか数週間だか、さんざん関係をもったあげく、素手で売春婦の顔を殴って殺すところから、幼なじみをはじめ、捜査の手がかりになりそうな目撃者、関係者を次々に殺す。それも追い詰められた切迫感からではなく、あくまでも無表情に。顔だけを殴って殺す(実は死んでなくて、最後に再登場した祭の特殊メイクの傷跡が痛々しい、いや、痛そう)のだが、ボクサーでもないんだから、自分の拳も相当痛いと思うのだが……。
それでもFBIによって追い詰められ、最後には死んでいなかった売春婦を道連れに心中/自殺する。
サイコパスを精神病だとするなら、その病気ゆえの苦悩を描くならばフィクションでも良いが、それもない。観客はこの作品を観てどう感じろというのか?
そこまで魅力的なダークヒーローという感じでもないし。